イスラームにおける健康(3/4):食生活
説明: 健康的な食習慣を維持することの重要性について。
- より アーイシャ・ステイシー
- 掲載日時 22 Apr 2013
- 編集日時 22 Apr 2013
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イスラームは、人生における規範です。ムスリムは週末や冠婚葬祭のときだけ宗教を実践するのではなく、彼らにとっての宗教とは日常生活における現在進行形のものなのです。イスラームは精神的・倫理的な系統を持ち、人の内的な欲求をも考慮します。イスラームの教義はクルアーン、そしてスンナとして知られる、預言者ムハンマドにまつわる真正の言行録に基づいています。啓示によるこれら二つの源泉は導きであり、人生の教範なのです。
最初はそれが奇妙な類推のように映るかもしれませんが、イスラームの生活規範をコンピュータの取扱説明書と比較してみましょう。過去数十年間のテクノロジーの進歩を全く知らないまま、新型のノートパソコンを購入することを想像してみてください。あなたは電源入/切のスイッチがどこにあるか分かるでしょうか? もしコンピュータの電源を入れることに成功したとしても、その使い方や、システム・リストア、ウイルス・スキャンやメンテナンスの方法が分かるでしょうか? 取扱説明書を抜きにしては、コンピュータは「猫に小判」なのです。
コンピュータの設計者も同様に、特定の指示なしにはコンピュータの性能が生かされないことを熟知するからこそ、取扱説明書を作成するのです。通常、ハイテク製品には、製造業者の指示に従わない限りは何の役にも立たない保証書が付いてくるものです。それゆえ、私たちは高価なハイテク製品を最も有効に使いこなすために取扱説明書を読み、そのガイドラインに従うのです。
同様にイスラームは、永久なる楽園という保証の付いた特定の指示を提供します。その保証には保証期間というものはなく、無期限の延長を許します。もし過ちを犯したり、間違った「ボタンをクリック」したとしても、その説明書は修正や「復元」の方法を明確に指示します。神は特定の方法によってかれが崇拝されるよう、人類を設計・創造し、それを容易とするために使徒と預言者を遣わして特定の指示をもたらしたのです。しかし、神によるガイドラインが存在しなければ、人類は明確な意味を持たず、真の安寧や満足感のない世界において道を外すでしょう。生命は目的や意味もなく生き、多くの人々は、生きるに価する人生というものをほとんど提供しない存在から逃げ惑うのです。
預言者ムハンマドにまつわる伝承は、健康を大切にし、その真の価値を神による数え切れない程の祝福のひとつであることを自覚するよう、教えます。
“その時、主は宣告された。「もしあなたがたが感謝するなら、われは必ずあなたがたに(対する恩恵を)増すであろう。だがもし恩恵を忘れるならば、わが懲罰は本当に厳しいものである。」”(クルアーン14:7)
イスラームの健康に対する包括的なアプローチには、私たち自身の身体を敬意をもって養い、信仰だけでなく合法的な健康食によって栄養を摂ることが含まれます。創造主の指示による人生の生き方とは、その大部分が適切な食生活を送ることです。健康に良い食事を選び、健康に悪い食事を避けることがその基本となります。神はクルアーンにおいてこう述べます。“信仰する者よ、われがあなたがたに与えた良いものを食べなさい。”(クルアーン2:172)“人びとよ、地上にあるものの中良い合法なものを食べ…”(クルアーン2:168)
クルアーンには、身体的・精神的健康の連結に関わる、健康的な食習慣を忠言する多くの節々が含まれています。健康的かつ清浄な食事だけを摂ることへの推奨は、神を想念し、悪魔を避けることへの警告とたびたび結び付けられています。健康的な食習慣は、空腹を満たすだけでなく、いかに良く崇拝するかへの影響もあるのです。
“人びとよ、地上にあるものの中良い合法なものを食べて、悪魔の歩みに従ってはならない。本当にかれは、あなたがたにとって公然の敵である。”(クルアーン2:168)
誰であれ、不健康な食事やジャンクフードを過剰に摂取するであれば、身体が弱くなったり、神を奉仕するという本来の目的を達成できなくなったりします。一方で、精神的熟達のみを追求し、健康と栄養について無頓着なのであれば、弱さ、怪我、病気などによって義務の崇拝行為の不履行という結果につながってしまうでしょう。クルアーン、そして預言者ムハンマドの言行録において見出すことの出来る導きからは、人類がそれら二つの両極端の中庸を維持することが説かれています。
健康的な食習慣とは、神がその創造に対して提供するすべての食物からバランスよく摂取することです。身体が必要とする栄養分は、炭水化物、ミネラル、ビタミン、タンパク質、脂肪、アミノ酸などによって満たされます。クルアーンにおける多くの節々では、私たちの身体が必要とする栄養分を満たすため、神によって提供された食物について言及されています。それは細かく記された栄養分の必要リストなどではありませんが、健全な身体を保ち、病気を防ぐ食物の種類についての概説なのです。
“またかれは、家畜をあなたがた(人間のため)に創られた。あなたがたは、それらにより暖衣や種々の便益を得たり、またそれらを食用とする。”(クルアーン16:5)
“かれこそは、海洋を(人間に)使役させられる方で、それによってあなたがたは鮮魚を食べ…”(クルアーン16:14)
“かれはそれであなたがたのために、穀類とオリーブとナツメヤシとブドウその外各種の果物を育てられる。”(クルアーン16:11)
“また家畜にもあなたがたへの教訓がある。われはその腹の中の雑物と血液の間から、あなたがたに飲料を与える。(その)乳は飲む者にとり、清らかであり(喉に)快適である。”(クルアーン16:66)
“それらは、腹の中から種々異った色合いの飲料を出し、それには人間を癒すものがある。本当にこの中には、反省する者への一つの印がある。”(クルアーン16:69)
“かれこそは棚を備えた果樹園、また棚のない果樹園を創られる御方であり、またナツメヤシや様々な味の異なった農作物、とオリーブ、ザクロその外同類異種のものをも(創られた御方である)。実が熟したならば食べなさい。”(クルアーン6:141)
“…穀物をそれから生産し、それをかれらが食べることがあげられる。”(クルアーン36:33)
また神は、私たちに禁じられた食物を指定され、それ以外はすべて合法であると見なされました。
“あなたがたに禁じられたものは、死肉、(流れる)血、豚肉、アッラー以外の名を唱え(殺され)たもの、絞め殺されたもの、打ち殺されたもの、墜死したもの、角で突き殺されたもの、野獣が食い残したもの、(ただしこの種のものでも)あなたがたがその止めを刺したものは別である。また石壇に犠牲とされたもの…”(クルアーン5:3)“酒…である。”(クルアーン5:90)
甘いものやジャンクフードは禁じられてはいませんが、それらは最適な健康のためのバランスのとれた食習慣の一環として、僅かな摂取にとどめられておかなければなりません。現在、多くの一般的な慢性病は、不健康な食習慣が原因です。冠動脈性心疾患、高血圧、糖尿病、肥満、鬱病などの病気は、不適切な食習慣と関連付けられています。預言者ムハンマドの伝統においては、健康を維持する方法として中庸が称賛され、クルアーンではいかなる両極端の中でも、バランスを取ることが強調されています。
真の信仰者たちは、正しい方法によって神を崇拝するための、健康な心と体を必要とします。健全な精神を維持するためには、純粋な心と健康な身体に特別な注意が払われるべきです。心と精神は神を想念すること、そして合法的な方法で行われる崇拝行為によって養われ、身体は神によって提供される健康的で合法な食物を摂ることによって養われます。健康的な食習慣への配慮は、イスラームとは切り離すことのできない、包括的な健康システムの一部なのです。
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