近代歴史学的方法論VS.ハディース方法論(3/5):ハディース方法論

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説明: 歴史の記録において用いられる近代的方法論と、ハディースにおいて用いられるものとの比較。第三部:ハディースにおいて用いられる方法論について。

  • より リーム・アッザーム
  • 掲載日時 05 Sep 2011
  • 編集日時 05 Sep 2011
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Modern_Historical_Methodology_vs._Hadeeth_Methodology_(part_3_of_5)_001.jpg預言者のハディースとは、預言者ムハンマド(神の慈悲と祝福あれ)からの、または彼に関する報告のことを指し、ムスリムはアハーディース(ハディースの複数形)を通して人生における預言者の道であるスンナについて知ることが出来ます。この知識は、ムスリムの最も基本的な宗教的要件を満たすために必要であり、預言者自身生前に、この知識を広めることを指示しました。

預言者は彼の教友たちに対し、反復、質問、口述、実践して見せることなどによる様々な方法によって教えを説きました。そして彼らに対してそうした後、彼らが何を学んだのかを問いました。教友たちだけでなく、外国からの派遣団もクルアーンとスンナの教育を受けました。預言者は彼らに対しても、彼らが何を学んだのかを質問しました(Azami 9)1。さらに、預言者によって送付された書簡のいくつかは法的問題の範囲にまで及ぶ長文で、スンナの伝授方法についても叙述していました。預言者には一時、少なくとも45人の代筆官が居たため、文書は一般的に大量に記されていたと見られています(Azami 10)。彼がアリー・ブン・アビー・ターリブといった教友たちにも口授したり、彼の説教の写しを特定の人々に送付したりしたことも知られています。また、他にも非常に重要なこととして、彼が追従者たちに明確に指示したように、彼の方法を模倣させたことことが挙げられます(「私の行うように礼拝をしなさい」[ブハーリー第一巻、11編、604番]、「巡礼の儀礼は私から学びなさい」[サヒーフ・ムスリム、ハッジの書、310番])。また彼は質問者に対し、彼と共に滞在し、彼自身を観察して学習するよう勧めたことが知られています(Azami 10)。

スンナの知識を広めるために預言者によって用いられた他の方法には、学校とも言える複数の施設の設立がありました。それらは預言者のマディーナ到来後間もなく設立され、また彼は遠方の様々な場所へと教師を派遣したりもしました。彼は教友たちに対し、彼に関する知識を伝達するよう強調し、次のように言ったことが伝えられています:「たとえそれが僅か一つの節であれ、私からの知識を伝えるのです」(Azami 10)。また彼の有名な「別れの説教」では、次のように言ったことが伝えられています:「(ここに)今いる者たちは、いない者たちにこの教えを伝達するのです。」(ブハーリー第2巻、26編、795番)。このように教友たちの間では、不在の者たちに預言者の言行について告げ知らせることが一般的な慣行でした。また、預言者は派遣した代表団に対し、彼らが国に帰還した暁には、現地で学んだことを人々に教えるよう明確に指示したのです。彼は教えることと学ぶことによって得られる大きな報奨と、それを拒否した際に起こり得る懲罰について告げることにより、これらすべての行いを推奨しました(Azami 12)。

預言者の教友たちに関しては、彼らの愛し、尊敬した人物をいかに彼らが観察し、模倣することに専念したかが特筆されるべきでしょう。教友たちによる預言者への愛情は、預言者を守るためなら彼らの多くが躊躇することなく死んだ程だったことなどにより、よく知られています。このことを含め、彼らの卓越した記憶力と、預言者自身が自らのスンナを教えるために用いた様々な方法とを考慮すれば、彼らが預言者のスンナを熟知していたことは想像に難くありません。事実、彼らはそれを学ぼうとしただけでなく、暗記や記録などの様々な方法を駆使してそれを保持しようとしたことが報告されているのです。預言者の教友たちがお互いに暗記に励み、預言者から学んだばかりのことを実践していた多数の例もあります(Azami 13)。彼らの多くはハディースを記録したことで知られ、預言者の指示に従って彼から学んだことを元に、彼を模倣していました。預言者の死後も、彼から学んだことの暗記、実践と保持を彼らが続けていたことを証明する複数の報告があります。さらに、アリー・ブン・アビー・ターリブ、イブン・マスウード、アブー・サイード・アル=フドリーなどの教友たちが、後世代に対してハディースの暗記をするようアドバイスしたことを示す報告もあります。彼らは個人的にだけでなく、集団レベルでもその暗記をしていたのです(Azami 15)。

預言者の死後、イスラームはアラビア半島を超えた遠隔の地にも広まりを見せました。預言者の教友たちが拡張における先駆者たちだったため、ハディースの知識は彼らと共に広がり、そのすべてがマディーナに留まったのではありませんでした。それゆえ、遠隔の地にたどり着いてそこに定住した特定の教友たちに、他の地域には知られていなかった一部のスンナが知られていた可能性はあります。既述のように、教友たちは彼らの後世代がハディースの学習と保持を続け、それが失われないようにされるのを確認したのです。しかし、その時点でスンナの知識は一ヶ所に集中してはおらず、ムスリム世界の各地に拡散していたため、過ちが加えられる可能性が増しました。特に「第一のフィトナ(試練:つまりイスラーム国家の騒乱と分裂)」の後には、批評の技法が開発される必然性が出てきたのです(Azami 49)。それに加え、スンナの拡散と共に、ハディース学習の新しい技法も開発されなければなりませんでした。

ハディースの保持においてはすべての技法が重要なものでしたが、教師が生徒に読み上げる実践法は初期に開発され、とりわけ重要なものでした。これには、教師による生徒の本からの読み上げも含まれました。その本とは、教師が書き取らせたものの完全な、あるいは部分的な複写でした(Azami 17)。生徒や学者らは、教師に対して読み上げる前に、本全体において故意に別のハディースを挿入することによって、教師の力量を試しました。それらの追加を認識しなかった教師らは「公然と非難され、信頼性に欠けることが宣言」されたのです(Azami 17)。それに加え、生徒による教師への読み上げの技法は、二世紀初頭から最も一般的な実践法になっていたと言われています(Azami 19)。これは他の生徒たちが同席する中で行われ、彼らは自分たちの本の中にあるものと他の生徒のものとを比べるか、または注意深く聞いていたのです。彼らは通常、複写においては各ハディースの後に丸印を付け、教師に対してハディースが読まれると、それを示すために印を塗りつぶしたと言われています。また、ハディースが教師に対して読み上げられると、その印が付けられ、時には学者たちが同じ本を何度も読み返したのです。その理由はアラブ筆写本に対抗するためだったのではないかと見られています。さらに、ごく初期から、複写の再検査に対する必要性が明白にされ、教師たちは生徒たちの複写における過ちの排除を手助けしたと報告されています。自分の本を教えること、または編纂することにおいて適切な方法に従わなかった人物は、たとえ資料が真正のものであったとしても、ハディースを盗用したと非難されるでしょう。したがって、ハディースが正しい手順によって得られたということは極めて重要なことだったのです。他にもいくつかの技法が存在しますが、この論考の目的としても、ハディース学者がハディース伝達において、それを伝授する技法によって特別な用語を用いていたことを知るのは重要でしょう。また言及に価することとしては、それらの特別な用語(「ハッダサナー(彼は我々に、〜と話した)」、「アフバラナー(彼は我々に、〜と伝えた)」、「アン(〜によると)」)は、伝達過程が厳格に口伝のみであったことを示すのだと勘違いされがちですが、実際にはそうではなかったことが証明されています。



Footnotes:

1 Azami, Muhammad. Studies in hadeeth Methodology and Literature. Indiana: American Trust, 1977.

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