審判の日の大いなる兆候(1/7):小さな兆候

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説明: 本稿では、現世の終わりと審判の日の前に起きる大きな兆候について取り上げます。第一部では、大きな兆候の前に現れる小さな兆候について触れます。

  • より ジャマールッディーン・ザラボゾ (ゥ 2012 IslamReligion.com)
  • 掲載日時 23 Apr 2012
  • 編集日時 05 Jun 2022
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序説

The_Major_Signs_of_the_Day_of_Judgment_(part_1_of_7)_001.gif審判の日がいつ訪れるかは、誰にも分かりません。しかし、神はその慈悲深さから、かれの諸使徒に対し、それが近づいたときに現れる種々の兆候について、明らかにしています。それらの兆候は、預言者と同時代には生きておらず、彼の教えや模範を会得することが出来なかった人々にとって、重要な役割を果たします。それらは預言者に対する信念を強化しますし、更にそれらについて時間をかけて熟考することは、審判の日を思い起こさせてくれます。つまり、それらの兆候は人々の目を覚まし、この現世において自分たちが何をしているのか、そしてどこに向かっているのかを思い出させるのです。

「その時」の兆候は2種類に分類されます。1つ目は日常生活において見られる変化であり、それらは「小さな兆候」とされます。2つ目は、「その時」の直前に起きる非日常的かつ超自然現象的なものであり、「大きな兆候」とされるものです。この投稿では大きな兆候に焦点を当てますが、まずは小さな兆候のいくつかを取り上げる価値はあるでしょう。

「小さな兆候」

本稿における意図としては、大きな兆候にハイライトを当てることですが、「小さな兆候」についてもその一部に言及したいと思います。通常は、よりセンセーショナルな大きな兆候が取りざたされ、小さなものが無視されがちだからです。小さな兆候は、最後の日のはるか前に現れることもあるもので、それらは一般的に世界情勢における日々の変化に関連したものとなります。小さな兆候は無数に存在し1、それらの多くはすでに起きており、これからも起きるものです2。それゆえ、私たちの周りには多くの兆候が現れているにも関わらず、それらの存在、そして重要性に関して気付いていない人々も大勢います。事実、有名な「天使ガブリエルのハディース」では、ガブリエルが教友たちの前に現れ、最後の時について教えてくれるよう預言者(神の慈悲と祝福あれ)に頼んだ際(預言者はそれ以前、それらのことについて知らされていました)、彼は「小さな兆候」のいくつかに言及するに留めただけでした。おそらく、それらは時に認識することが困難、もしくは捉えがたいものであるにも関わらず、人々の日常生活・崇拝生活において、より需要な影響のあるものなのかも知れません。

それらの兆候を目にする者にとっては、神、そして将来的な神との拝謁を思い起こさせるものとなります。それらは神への信仰の強化、そして預言者ムハンマドの誠実性についての確信をもたらします。実際にそれらが起きる何十年、何百年も前、預言者がすでにそれらの兆候に関して言及していたという事実は、イスラームの真実性についての信仰を強化するのです。それゆえ、周りで何が起きているかを認識し、注意深く観察するのであれば、それらは大きな役割を担うことになります。

また、それらの兆候は、神がこの世界に関するすべての知識をあらかじめ有しているということも思い起こさせます。そのため、かれはそれらの兆候を諸使徒に伝達しているのです。神は人の行いのすべてを知り尽くしていますし、神はかれの創った創造物を常に見ており、あらゆる行為について心得ています。最後の時の兆候を見て取ることによってもたらされるこの意識は、最低でも神を怖れつつ、あたかもかれに見られていることを知りながら崇拝することにつながるでしょう。このことは、信仰の最高段階であるイフサーンとして知られています。

本稿では小さな兆候の内の2つを言及するに留めますが、読者各位には、ご自身でさらにお調べになることを強くお勧めします。

預言者は述べています。

“最後の時の兆候の内には、淫らな行いの普及、淫らな行いをもたらす労力、血縁関係の断絶、詐欺師らへの信頼が含まれる。”(アッ=タバラーニー)

このハディースで述べられている様子――特に最初の2,3は――、私たちの日常生活において現実的に見て取ることが出来ます。家から一歩外に出るか、テレビをつけるか、インターネットを検索でもすれば、いかに淫らな行い(イスラーム法において淫らであると見なされるもの)が普及しているかを確認することが出来ます。実に、多大なる労力と資金がそれらの生産と供給に費やされているのです。

また、預言者はこうも述べています。

“最後の時の兆候の内には、潤沢な富、無知の氾濫、数多くの災難、商取引の普及が含まれる。”(アル=ハーキム)

資本主義経済学者たちは、現代社会の富について誇らしげに語ります。実に、商業は現代社会における最も重要な事柄であるかのようにもてはやされ、それは道徳観や人間らしささえも蔑ろにしています。それに無知――特に神の宗教に対する無知――と、多くの災難、災害、紛争や戦争などの増加が伴えば、人類の結末は破滅以外の何でもなくなります。しかし私たちは今、世界中でまさにこれを目の当たりにしているのです。



Footnotes:

1 小さな兆候と大きな兆候に関しては、その多くがアラビア語の書籍において取り扱われています。

2 最後の時を分類化する別の方法としては次のものがあります。(1)既に起きており完了している兆候、(2)既に起きており、現在進行形で認識でき、その兆候がより明らかで強くなっているもの、(3)まだ起きていない兆候。これらの分類のそれぞれが熟考と研究に値します。

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審判の日の大いなる兆候(2/7):大きな兆候とは

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説明: 預言者ムハンマドによる大きな兆候についての言及、そしてそれら大きな兆候の性質と発生の順序について。

  • より ジャマールッディーン・ザラボゾ (ゥ 2012 IslamReligion.com)
  • 掲載日時 30 Apr 2012
  • 編集日時 30 Apr 2012
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審判の日の大きな兆候に関する包括的ハディース

大きな兆候は、審判の日からそう遠くない時期に発生するもので、一般的には「非日常的」またはセンセーショナルなものであると見なされます。

審判の日が起きる大きな兆候として、預言者(神の慈悲と祝福あれ)が述べた複数のハディースがあります。それには以下のようなものがあります。

イマーム・ムスリムは彼のサヒーフ(真正集)でこう記録しています。

フザイファ・ブン・ウサイド・ギファーリーは伝えている。「(我々が議論に勤しんでいると、)預言者が突然やって来て、こう言った。『何について議論しているのですか?』彼ら(教友たち)は言った。『最後の時についてです。』すると預言者は言った。『それは、10の兆候が現れるまではやって来ません。』そして彼は煙、ダッジャール、獣、西から昇る太陽、マリアの子イエス(二人に神の賞賛あれ)の降臨、ゴグとマゴグ、東の地、西の地、アラビア半島で起きる三ヶ所の地滑り、そしてその後に起きる火災によって人々をイエメンから合同の地へと追いやる出来事に言及した。」

また、ムスリムはサヒーフにおいて、このようにも記しています。

神の使徒は言った。「最後の時は、10の兆候が現れるまでは訪れません。(それらは)東方での地滑りと、西方での地滑りと、アラビア半島での地滑り、そして煙、ダッジャール、大地の獣、ゴグとマゴグ、西から昇る太陽、そしてアデン南方から発生する火災です。

上記と同じ出来事に言及した預言者のハディースは、他にもいくつか存在しています。それらのハディースにおいて、彼はそれらの兆候が最後の時の兆候である、と明確に指摘したわけではありません。預言者はそれらの出来事が発生する前に善行を行うよう、強い警告を発したのです。なぜならそれらの出来事は時の終わり、そして審判の始まりを告げ知らせるものだからです。アブー・フライラは神の使徒がこう述べたことを伝えています。

「6つの出来事が起きる前に善行に勤しむのだ。西から昇る太陽、煙、ダッジャール、獣、あなたがた(の死)、そして広範な紛争。」(ムスリム)

このハディースで預言者が言及した「あなたがたの死」も特筆に値します。これも「最後の時」の兆候の1つです。最後の時の大きな兆候を学ぶこと、知ることは重要で興味深いことでもありますが、最後の日々を目撃することのない人々にとっては、彼らの死が最後の時であり、彼らはそれの支度をしておかなければなりませんが、多くの人々はそれに関して無頓着です。そのため、あるベドウィンが預言者を訪れて「最後の時はいつですか?」と聞いたとき、預言者はある男児を指差して、こう言ったのです。「この子が生き長らえ、年老いた頃になると、あなたの時はすでに起きていることでしょう。」(サヒーフ・ブハーリー)

大きな兆候が発生する順序と性質

ユースフ・アル=ワービルは、審判の日の大きな兆候が発生する順序に関しての明確なテキストは、発見出来なかったと記しています。既述されたような、兆候のいくつかをまとめて述べるハディースでは、「そして」「または」を意味する接続詞が付属しており、直接的な結び付きはありません。どちらの場合も、接続詞は出来事の順序について示唆してはいません。事実、アル=ワービルが述べるように、同様のハディースでは、出来事が異なる順序によって言及されているのです1

一方、イブン・ハジャルは大きな兆候を2つのカテゴリに分類しました。第1のカテゴリが確実に第2 のものよりも先に起きるというものです2。第1のものは、この地球の性質が完全に変わらない内に起きるものです。それらの兆候は人々の目を覚まし、神への悔悟へ駆り立てるはずです。それらの兆候が起きている最中は、信仰者と不信仰者の区別は究極的に存在せず、復活が近いことを疑わせる要素も一切存在しません。この第一のカテゴリに含まれる兆候には、ダッジャールの出現、イエスの再臨、ゴグとマゴグ、そして地滑りがあります。

大きな兆候における第2のカテゴリでは、実際に復活の時が起きていること、そしてこの世の終わりになることが、誰の目にも明らかとなる場合です。それらに加え、信仰者と不信仰者は区別されます。それゆえ、それらの兆候が起きた後は、神への悔悟は出来ません。その時になって悔悟をしても手遅れであり、もう神によって認められないのです。このカテゴリにおける兆候としては、獣と煙の出現、そして西から昇る太陽などがあります。

また、これらの兆候が現れるときには、どうやらそれぞれの兆候がより早いペースで次々と現れるようです3。預言者は述べています。

“兆候は糸でつながれたじゅず玉のように、次々に現れるでしょう。”4

またアフマドは彼のムスナド(伝承集)において、預言者がこう述べたと記しています。

“これらの兆候は、あたかも糸でつながれたじゅず玉のようです。もし糸が切れると、それらは(たちまち)連続するでしょう。”5



Footnotes:

1 Yoosuf al-Waabil, Ashraat al-Saa’ah (Al-Damam, Saudi Arabia: Maktabah ibn al-Jauzi, 1989), pp. 183-186.

2 Ahmad ibn Hajar, Fath al-Baari bi-Sharh Saheeh Al-Bukhaari (Riyadh: Idaarah al-Buhooth al-Ilmiyyah, n.d.), vol. 11, pp. 352-353.

3  Cf., ibn Hajar, vol. 13, p. 77; al-Waabil, pp. 188-189.

4 アッ=タバラーニーのアル=アウサートにおける記録。

5 アフマドによる記録。

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審判の日の大いなる兆候(3/7):偽メシア(前半)

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説明: ここからは、最後の日と審判の日の少し前に発生する大きな兆候について述べます。本稿では、偽メシアの出現についての預言者ムハンマドの言葉、そして彼の外見や特殊な兆候によって、いかに彼を認識すべきかが叙述されます。

  • より ジャマールッディーン・ザラボゾ (ゥ 2012 IslamReligion.com)
  • 掲載日時 07 May 2012
  • 編集日時 07 May 2012
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The_Major_Signs_of_the_Day_of_Judgment_(part_3_of_7)_001.gif預言者(神の慈悲と祝福あれ)によって言及されたハディースにおける、大きな兆候それぞれに関しての、簡潔な解説に入りましょう1。これは人間が未だ目撃も経験もしていない「不可視界」に関わる解説であるため、大半はクルアーンとハディースのテキストで述べられたものだけに限定されます。

アッ=ダッジャール(偽メシア)

ダッジャール、または偽メシアとして知られる存在の出現は、数多くの預言者のハディースにおいて述べられています2。これらのハディースでは、信仰者、不信仰者に関わらず、この人物が人類にとっていかに大きな試練と誘惑になるかが示されています。たとえば預言者ムハンマドは、過去の諸預言者もダッジャールの出現について人々に警告をしていたことを述べています。預言者ムハンマドはこう述べています。

“過去に、片目の嘘つき(ダッジャール)に関して民を警告しなかった預言者は、一人もいなかったのです。”(サヒーフ・ブハーリー)

さらに預言者は、真正なハディースで記録されているように、礼拝時は偽メシアによる試練からのご加護を神に祈っていました。

様々な預言者のハディースは、ダッジャールに関する多くの情報を提供します。たとえば、預言者は彼が人間であることを明確にしています3。預言者は彼に関して明確に叙述しているため、ダッジャールが信仰者を騙す余地はあまりなく、真の信仰者であれば概して彼に騙されたりはしないでしょう。しかし、このことはイスラーム的知識の重要性についても強調しており、もし人が預言者によるダッジャールの叙述に関して完全に無知であれば、彼がダッジャールによる邪悪な策略の餌食になることも十分あり得るのです。

ダッジャールに関する多くのハディースには、ダッジャールの外見について説明するものも存在します。それらのハディースには、以下のようなものがあります。

イマーム・ムスリムは、預言者がダッジャールに関し、人々の前で次のように言及したというイブン・ウマルの伝承を記録しています。“神は片目ではありません。ダッジャールは右目が盲目であり、彼の目はブドウのように浮かび上がっているのです。

また別のハディースでは、預言者が次のように述べたことをイマーム・ムスリムが記録しています。“そこには(アラビア語で)三文字が記されているでしょう。カーフ4、ファー5、そしてラー6です。ダッジャールの眉間にあるこれら三文字はアラビア語の“カーフィル”を形成し、それは不信仰者を意味するのです。”そして預言者は別のハディースで、すべてのムスリムはそれを読み取ることが出来ると述べています。

また預言者は、ダッジャールがもたらすものについてもその一部を明らかにしました。たとえばイマーム・ムスリムは、預言者の次のような言葉を記録しています。

“ダッジャールは水と炎をもたらし、彼の炎は冷たい水の効果があり、彼の水は炎の効果があります。だから自ら破滅に向かってはなりません。”

預言者の教友、フザイファも同様のことを述べています。“私はダッジャールがもたらすものについて、あなたよりも知っています。彼と共に2つの運河(一方は水が流れるもの)がもたらされ、もう一方は炎(が流れるもの)であり、あなたが炎に見えるものは水で、水に見えるものは炎なのです。なので、あなたがたの内でそれを見ることになる者は、水を欲したときは、炎のように見えるものから飲むのです。”(ムスリム)

あらゆる宗教的欺瞞者の場合でもそうですが、真実を認識する者であれば、彼の巧みな策略と幻覚を見破ることが出来ます。次のハディースは、その点に関して非常に明確にします。アブー・サイード・アル=フドリーは、ある日預言者がダッジャールについて詳細な叙述をし、次のような事柄に言及したことを記録しています。

“彼は到来するが、マディーナの山岳地帯を突破することは出来ないでしょう。したがって、彼はマディーナ近隣の地域で足踏みしますが、ある人物が(ダッジャールを訪れ)彼にこう言うでしょう。「私は、既に神の預言者が告げ知らせていた通り、あなたがダッジャールであるという事実を証言します。」ダッジャールは(彼の追従者に)こう言うでしょう。「もしも私がこの(人物を)殺し、生き返らせたのであれば、それでもあなたはこの件に関して疑念を抱くのか?」彼らはこう返答するでしょう。「いいえ。」そして彼は(その人物を)殺し、生き返らせるでしょう。彼がその人物を生き返らせたとき、彼(生き返った人物)はこう言うでしょう。「神にかけて。私はあなたが(ダッジャールであることを)今以上によく証明することは出来ない。」ダッジャールは(再び)彼を殺そうとしますが、そうすることが出来ないでしょう。”



Footnotes:

1 本稿では、マハディーに関する解説を次の理由から行いません。マハディーの出現は数々のハディースによって確証されていますが、預言者は彼の出現を審判の日の大きな兆候としては言及しなかったからです。

2 実際に預言者は、審判の日の前に現れる多くの嘘つき・詐欺師(ダッジャール)について語っていました。たとえばブハーリーとムスリムは預言者がこう言ったことを記録しています。「自らを神の使徒であると名乗るおよそ30人の詐欺師、嘘つきが現れるまでは、最後の時は来ないでしょう。」それらは「小ダッジャール」であるとされ、審判の日の小さな兆候であると見なされます。「大ダッジャール」は審判の日の大きな兆候であり、預言者(神の慈悲と祝福あれ)が警告を発した対象です。

3 一部では、ダッジャールが反イスラーム的な概念、国家、世界観などであると解釈する動きもあります。私たちはダッジャールによる試練から学び、それがどこから来るのであれ避けるべきですが、ハディースの明文をねじ曲げ、ダッジャールがイエス降臨後に現れる人間ではない存在であるという主張は間違ったことです。

4 「カーフ」は発音上、英語のKに相当します(既述上は異なります)。

5 「ファー」は発音上、英語のFに相当します(既述上は異なります)。

6 「ラー」は発音上、スペイン語のRに近似します(既述上は異なります)。

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審判の日の大いなる兆候(4/7):偽メシア(後半)

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説明: ここからは、最後の日と審判の日の少し前に発生する大きな兆候について述べます。本稿では、引き続き偽メシアに関すること、そして彼の追従者たちや彼の地上での滞在期間について説明します。

  • より ジャマールッディーン・ザラボゾ (ゥ 2012 IslamReligion.com)
  • 掲載日時 07 May 2012
  • 編集日時 07 May 2012
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私たちがダッジャールの逸話から学ぶことの出来ることの1つに、富と業績が人の真の価値を決めるのではないということがあります。たとえある人がこの世の富のすべてを手に入れたとしても、その心に信仰がなければその人に全く価値はありません。サヒーフ・ムスリムのハディースにはこうあります。

“ムギーラ・ブン・シュウバは述べた:私ほどに神の使徒(神の慈悲と祝福あれ)へ、ダッジャールについての質問をした者はいなかった。彼は(私に)言った。「彼はあなたに何も危害を加えることはないでしょうから、あなたにとって彼が悩みの種となることはないでしょう。」私は言った。「神の使徒よ、彼には(潤沢な)食料と水があると言われていますが。」それに関して彼は言った。「彼(ダッジャール)と、彼の手によって創り出されることを神がお許しになるもの(大量の食料と水)を通して信仰者を惑わす能力は、それらの出来事によって信仰者の信仰心を増大させる神の能力に比べると、取るに足らないものです。」

サヒーフ・ムスリムでは、預言者ムハンマドの言葉として次のようなものも記録されています。

“マッカとマディーナを除いて、ダッジャールが通過または行き来することの出来ない土地はないでしょう。両都市に続く全ての道は、列を成した天使たちによって守られているからです。そして彼(ダッジャール)はマディーナの近隣地(そこは高濃度の塩分を含み、侵食によって不毛となっている土地)に現れますが、そこ(マディーナ)は激しく揺れ、それによって全ての不信仰者と偽善者たちがそこから離れ、彼(ダッジャール)の元に向かうほどです。”

また、預言者はダッジャールの追従者たちについても述べています。

“ダッジャールは、ペルシャのショールを身に付けたイスファハンの7万人のユダヤ教徒たちによって追従されるでしょう。”

サヒーフ・ムスリムに収録されている次の長いハディースは、ダッジャールによる搾取についての詳細と、審判の日の次の大きな兆候であるイエスの再臨について叙述します。

“アン=ナウワース・ブン・サムアーンは、ある日の朝に神の使徒がダッジャールについて言及したことを報告した。彼(預言者)は、時に彼(ダッジャール)が重要でないかのように説明し、時に(彼による動乱が)非常に重要であるかのように説明したため、私たちは彼がナツメヤシの木の茂みの中にでもいるかのように錯覚した。その日の晩に私たちが彼(預言者)を訪れたとき、彼は私たちの顔(に浮かんだ恐怖心)を読み取り、こう言った。「あなたがたはどうしたのですか?」私たちは言った。「神の使徒よ、今朝あなたはダッジャールに関して、(時に)重要ではないかのように、そして時に非常に重要であるかのように言及されました。それで私たちは彼がナツメヤシの木の茂みの中のどこか(近く)に潜んでいるのではないかと考え出しました。」そこで彼は言いました。「ダッジャールだけでなく、私はあなたがたの心に数多くの恐怖を抱かせました。私がまだあなたがたと共にいるときに彼が現れたのであれば、私があなたがたを代表して彼と争うでしょう。しかし私があなたがたと共にいないときに彼が現れたのであれば、ある男が自らを代表して彼と争わなければならず、神は私に代わって(あらゆる悪から守るよう)すべてのムスリムの世話をしてくれるでしょう。彼(ダッジャール)は若い男で、曲がりくねった縮れ毛を持ち、片目が盲目でしょう。彼はアブドル=ウッザー・ブン・カターンに似ています。あなたがたの内、生きて彼を目にする者は、彼に対してスーラ・アル=カハフの最初の数節を唱えるべきです。 彼はシリアとイラクの間に現れ、右に左に悪事を広めるでしょう。神のしもべよ!(真実の道に)従うのです。」 私たちは言った。「神の使徒よ、彼はどれほどの期間に渡って地上に留まるのでしょうか?」彼は言った。「40日間ですが、そこには1年程の長さの1日、1ヶ月程の長さの1日、そして1週間程の長さの1日があるでしょう。そして残りの日々は(通常の)1日(と同じ長さ)でしょう。」私たちは言った。「神の使徒よ、1年と同じ長さの1日では、1日分の礼拝をすれば事足りるのでしょうか?」そこで彼は言いました。 「いいえ。あなたがたは(礼拝の)時間を見積もらなくてはなりません。」私たちは言った。「神の使徒よ、彼は地上ではどれ程の速さで歩くのでしょうか?」 そこで彼は言った。「風に流れる雲のようにです。彼は人々の前に現れ(虚偽の宗教へ)人々を導き、彼らはその信仰を肯定して彼に従うでしょう。そして彼は空に命じて雨を降らせ、作物が育つでしょう。そしてその晩、彼らの放牧させる家畜はとても高いこぶと満たんの乳と膨れた横腹を持つでしょう。そして彼は別の人々のもとに現れて彼らをいざなうでしょう。しかし彼らは彼を拒否し、彼が彼らから離れると、そこには干ばつがもたらされ、彼らには何の富も残されないでしょう。そして彼が荒廃した土地を通り、「宝を産出せよ」 と言うと、宝が出てきてミツバチの群れのように(自ら)彼の前に陳列します。そして彼が若さ溢れる人物を呼ぶと、彼を剣で真っ二つに切り裂き、(その二つの破片の距離は)射手と標的の間ほども離れます。そして彼が(その若者を)呼ぶと、彼は笑いながら現れ、その顔は(幸せに)満ち溢れていますが、その瞬間こそ、神がマリアの息子キリストを遣わすときなのです…”

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審判の日の大いなる兆候(5/7):イエスの再臨

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説明: ここからは、最後の日と審判の日の少し前に発生する大きな兆候について述べます。本稿では、イエス再臨に関する多くの預言者ムハンマドの言葉から一部を取り上げます。

  • より ジャマールッディーン・ザラボゾ (ゥ 2012 IslamReligion.com)
  • 掲載日時 14 May 2012
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The_Major_Signs_of_the_Day_of_Judgment_(part_5_of_7)_001.gif審判の日の少し前に起きる、もう1つの驚くべき兆候に、この地上におけるイエス(神の平安と祝福あれ)の再臨があります。神はクルアーンでこのように述べています。

“「私たちは神の使徒、マリアの子メシア、イエスを殺したぞ」という言葉のために(心を封じられた)。だが彼らが彼(イエス)を殺したのでもなく、また彼を十字架にかけたのでもない。ただ彼らにそう見えたまでである。本当にこのことについて議論する者は、それに疑問を抱いている。彼らはそれについて(確かな)知識はなく、ただ臆測するだけである。確実に彼を殺したというわけではなく。いや、神は彼(イエス)を、御側に召されたのである。神は偉力ならびなく英明であられる。啓典の民の中の誰も、彼(イエス)の死ぬ前には、必ずや彼を信じることになる。審判の日において、彼(イエス)は彼らにとって(不利な)証人となろう。”(クルアーン4:157−159)

“啓典の民の中の誰も、彼(イエス)の死ぬ前には、必ずや彼を信じることになる。”という言葉は、イエスが再臨する前の現世的な死に言及したものです。その時になって、ユダヤ教徒とキリスト教徒は最終的に彼を神の使徒として、そして神ではなく人間として信じるようになります。彼らにはその選択の余地しか残されないからです。事実、一部の学者たちによれば、イエスの再臨における英知の1つには、彼を十字架にかけたというユダヤ教徒の主張、そして彼が神の子であるという虚偽の主張を完全に否定するものであるとしています。

この世の終わり間近に、イエスの再臨があるということを述べるハディースは、多数あります。それらはイエスの再臨後、彼がするであろう多くの行いを説明をします。

ダッジャールの部で紹介された最後のハディースからも明確なように、イエスの再臨は偽メシアが地上に現れている間に起こります。以下は既述されたハディースの続きです。

“ 彼(ダッジャール)は若さ溢れる人物を呼ぶと、彼を剣で真っ二つに切り裂き、(その二つの破片の距離は)射手と標的の間ほども離れます。そして彼が(その若者を)呼ぶと、彼は笑いながら現れ、その顔は(幸せに)満ち溢れていますが、その瞬間こそ、神がマリアの息子キリストを遣わすときなのです。彼はダマスカスの東側にある白いミナレットのもとに、サフランで軽く染色された二着の衣服をまとい、両手を二人の天使の翼に添えて降臨します。彼が頭を垂れると、汗の雫がこぼれ落ち、彼が頭を上げると真珠のような雫が散らばります。彼の匂いを嗅いだ不信仰者はすべて死に、彼の息は彼が見渡すことの出来るところまで届きます。そして彼は彼(ダッジャール)を探し始め、ルッドの門で彼を捉えると彼を殺すのです。”

ブハーリーとムスリムは、預言者(神の慈悲と祝福あれ)がこのように言ったことを記録しています。

“私の魂がその御手の中にある御方にかけて。マリアの子(彼に平安あれ)はやがて、あなたがたの間に公正な裁きを下す者として降臨するでしょう。彼は十字架を破壊し、豚を殺し、ジズヤ1を廃止し、誰一人それを受け入れない程の富がもたらされるでしょう。”

彼が現れるとき、彼はキリスト教に広まった虚偽の信仰に終止符を打つでしょう。それゆえ彼は、彼自身への崇拝を象徴する十字架を破壊するのです。同様に、そのときになるとユダヤ教徒やキリスト教徒が彼を信じずに追従しない言い訳は一切なくなるので、ジズヤを徴収する必要もなくなるのです。同じハディースの別の伝承においては、イエスを追従する人々の状況について言及されています。預言者はこう言いました。

“彼が幼い雌ラクダを放しても、誰も(そのザカーを)取ろうともしないでしょう。お互いへの恨み、憎しみ、嫉妬の情は消え、彼が人々を集めて富の分配をしようとすると、誰一人受け取ろうともしないでしょう。”別のハディースでは、追従者たちに、こう言及されています。“平安が広まり、人々は剣を鎌として使用するでしょう。すべての危険な猛獣は危害を加えなくなるでしょう。空は雨を豊富に降らせ、大地からは祝福が育まれるでしょう。子供が狐と戯れても、子供は怪我をしないでしょう。狼は羊と、ライオンは牛と一緒に放牧されても、何の危害も加えないのです。”2

イエス再臨のときになると、様々なハディースにあるように、ムスリムはマハディー(導かれた指導者の意)により率いられます。預言者はこのように言っています。

“マリアの子があなたがたの間に降臨し、あなたがたの間に一人のイマームがいる状況になることを、どう思いますか?”(ブハーリー、ムスリム)

サヒーフ・ムスリム収録の別のハディースでは、こう述べられています。

“私の民の一部は、真実のための戦いをやめず、復活の日まで優勢的であるでしょう。”そして彼は言いました。“そしてマリアの子イエスは降臨し、彼ら(ムスリム)の司令官は彼を招き、彼らの礼拝を先導するよう依頼しますが、彼はこう言うでしょう。「いいえ、あなたがたの一部はあなたがたの一部に司令をするのです。これはこの国家に対する神の栄誉なのです。」”

このハディースでは、イエスが現れるときは新たな使徒として新たな法をもたらすのではないことを証明しています。彼は預言者ムハンマドの追従者として再臨し、イスラーム法に従うのです。実際、サヒーフ・ムスリムにおける別のハディースでは、イエスがイスラームの儀礼であるハッジ(大巡礼)を行うことも叙述されています。

サヒーフ・ムスリムのハディースでは、さらにイエスが7年間に渡り人々を統治することが述べられています。預言者は言いました。

“人々は7年間の間、お互いへの敵意もなく生活するでしょう。そして神はシリア方面から冷たい風を吹かせ、ほんの少しの善、または信仰を持つ人々は地上から死に絶えるでしょう。それは、もしあなたがたが最も内陸部にある山地に逃れたとしても死をもたらす程です。”彼は続けました。“邪悪な人々のみが生き延び、彼らは鳥のように無頓着で、獣のような性質を持つのです。彼らは全く善の価値を認めず、悪を非難することもないでしょう。”

既述されたように、これらの大いなる兆候が現れるとき、その他の兆候も続きます。預言者はイエスの再臨について述べる際、ゴグとマゴグについても述べました。



Footnotes:

1ジズヤとは、非ムスリムがイスラーム国家に対して兵役免除と引き換えに支払う人頭税のことです。

2 これらはアフマド、イブン・ヒッバーン、アブー・ダーウードその他によって記録された、様々なハディースで言及されているものです。

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審判の日の大いなる兆候(6/7):ゴグ・マゴグ族

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説明: 本稿では、イエス・キリストの再臨後に現れるゴグ・マゴグ族についてご説明します。

  • より ジャマールッディーン・ザラボゾ (ゥ 2012 IslamReligion.com)
  • 掲載日時 14 May 2012
  • 編集日時 14 May 2012
  • プリント数: 121
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ゴグ・マゴグ族は、クルアーンにおいて数カ所で言及されています。そのうちの1箇所で、神は彼らの種族がズル=カルナインの時代には存在していたことを明確にしています。神はこう述べています。

“彼(ズル=カルナイン)が2つの山の間に来た時、彼はその麓にほとんど言葉を解しない一種族を見付けた。彼らは言った。「ズル=カルナインよ、ゴグとマゴグが、この国で悪を働いています。それで私たちは税を納めますから、防壁を築いて下さいませんか。」彼は(答えて)言った。「主が私に授けられた(力)は、(この種族よりも)優れている。それであなたがたが、力技で助けてくれるならば、私はあなたがたと彼らとの間に防壁を築こう。鉄の塊りを私の所に持って来なさい。」やがて2つの山の間の空地が満たされた時、彼は言った。「吹け。それが火になるまで。」(また)彼は言った。「溶けた銅を持って来てその上に注げ。」それで彼ら(ゴグとマゴグ)は、それに登ることも出来ず、またそれに穴を掘ることも出来なかった。彼(ズル=カルナイン)は言った。「これは、私の主からの御慈悲である。しかし主の約束がやって来る時、彼はそれを粉々にされよう。私の主の御約束は真実である。」(ゴグとマゴグの現れる)その日われは、人を御互いに押し寄せる波のようにまかせよう。その時ラッパが吹かれ、それでわれはすべての者を一斉に集める。”(クルアーン18:92−99)

その他のクルアーンの箇所で、神は彼らを最後の時の兆候として言及しています。神は述べられています。

“ゴグとマゴグが(防壁から)解放されて、どの丘からも勢いよく下って来る時までは。真実の約束(復活の日)は(その実現が)近付いているのである。見なさい。信仰しない者の目は坐ってきて(言うであろう)。「ああ、情けない。私たちはこのことを疎かにしていました。いや、わたしたちは不義な者でした。」”(クルアーン21:96−97)

預言者(神の慈悲と祝福あれ)は、彼らが最終的に開放されるときに関し、次のような説明をしています。

“ゴグとマゴグは、バイトル=マクディスにある山、アル=ハマル山に到達するまで歩み、こう言うでしょう。「我々は大地の者たちを殺した。次は空の者たちを殺そう。」彼らは空に弓矢を放ち、それらの弓矢は血まみれの状態になって彼らに戻ってくるのです。”

アハマドはムスナドにおいて、次のハディースを記録しています。

“毎日、ゴグとマゴグは防壁を破ろうと穴を掘っています。その穴の先に陽の光が見え始めると、彼らの監督はこう言うのです。「戻るのだ。穴を掘るのは明日再開せよ。」そして彼らが戻ってくると、防壁は以前よりも強化されたものになっているのです。神が彼らの開放をお望みになるまで、彼らはこれを繰り返すのです。彼らが陽の光が見え始めるまで堀り進むと、監督はこう言うでしょう。「戻るのだ。穴を掘るのは明日再開せよ。神の御意ならば。」このとき、彼らは例外的に「神の御意ならば」と言い、神の御意に委ねます。彼らが翌日戻ってくると、穴は去ったときと同じ状態のままなのです。彼らは掘り進め、人々の前に現れます。彼らはすべての水を飲み尽くし、人々は要塞の中に立て篭もるでしょう。ゴグとマゴグは空に弓矢を放つと、それらは血のようなものにまみれて地上に落ちてきます。ゴグとマゴグは言うでしょう。「我々は大地の人々に勝利した。そして天の人々を超えたのだ。」すると神は彼らのうなじにミミズのようなものを送り、それによって彼らは死に絶えるでしょう。ムハンマドの魂がその手中にある御方(神)にかけて。大地の獣は肥えるでしょう。」(アッ=スユーティー)

上記の2つの部分が引用された長いハディースの中で、預言者はさらにイエスとゴグ・マゴグ族との関係について説明しています。イエスが偽メシアを殺したあと、預言者は次に何が起きるかについて語っています。

“そして神が守った人々はマリアの子イエスの元にやってきて、彼は彼らの顔を拭い、彼らの天国における位について告げ知らせます。そして神はイエスに、次の言葉を啓示するのです。「われはわれのしもべたちの中から、誰も戦うことの出来ないような者たちをもたらした。あなたはこれらの人々を連れ、トゥール山へ赴くのだ。神はゴグ・マゴグを遣わし、彼らはあらゆる丘からなだれ出てくるだろう。」彼らの第一陣はティベリウスの湖を通過し、その水を飲むでしょう。彼らの後陣が通過すると、彼はこう言うでしょう。「ここにはかつて水があったのだ。」イエスと彼の追従者たちはここで(トゥールで強襲を受けて)捕らえられ、それにより、彼らにとっては雄牛の頭が100ディナール(金貨)よりも愛おしい程になります。そして神の使徒イエスと彼の追従者たちは神に祈り、神は彼らのために(ゴグ・マゴグの首を攻撃する)虫を遣わし、翌朝には彼らは1人の人間であるかのように絶滅します。神の使徒イエスと彼の追従者たちは、大地において、彼らの腐敗した死骸と悪臭のない空間をほとんど見つけ出すことが出来ないでしょう。神の使徒イエスと彼の追従者たちは、再び神に嘆願し、神はバクトリア(現在のアフガニスタン地方)のラクダのような首を持つ鳥を遣わし、それらの鳥は死骸を運び出し、神の望んだ場所に捨てるでしょう。そして神は日干し煉瓦の家やラクダ毛のテントが耐え忍ぶことの出来ないような豪雨を降らせ、まるで鏡のようになるまで大地を洗い流すでしょう。すると大地は実りをもたらし、祝福を取り戻し、その結果として大人数が食べることの出来るようなザクロを生やし、その皮の下では宿を取ることが出来る程です。また乳牛は集団が飲むことの出来る程の乳を出し、ラクダは部族全体が飲むことの出来る程の乳を出し、羊は家族全体が飲める程の乳を出すようになるでしょう。そのときになると、神は人々の腋の下を吹き抜けるような心地良い風を吹かせ、それはすべてのムスリムの生命を奪い、邪悪な者たちしか生き残らず、彼らはロバのように姦通をし、彼らに最後の時が訪れるのです。”

サヒーフ・ムスリムに収録されているもう1つの重要なハディースでは、預言者が将来的なゴグとマゴグの襲来について語っており、同時にすべての人々が熟考すべき重要な教訓に関して述べています。

“唯一なる神の他に神はありません!ゴグとマゴグの防壁は開きつつあります。それにより動乱が始まり、アラビア半島には破壊がもたらされるでしょう。”

(伝承者の1人)スフヤーンは、手で十を示し(て指の間を広げ)、私(預言者の妻の一人ザイナブ)はこう言いました。

“神の使徒よ、我々の間には善良な人々がいるにも関わらず、全滅するのでしょうか?”彼はこう応えました。「もちろんです。しかしそれは悪がはびこる時だけです。”

(因みに、ゴグ・マゴグ族とは一体何者なのかという推測については大いに議論されてきました。しかしながら、ここではそうした議論に関して、紙幅の関係からクルアーンとスンナにおいて語られていることのみに言及しています。よって、ゴグ・マゴグ族を識別することに関しては、非常に限定的な事柄を述べるに限られています。しかしながら、いくつかのハディースでは、彼らの身体的特徴についても叙述されています。)

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審判の日の大いなる兆候(7/7):最後の大きな兆候

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説明: シリーズ最後の投稿では、審判の日間近に起きる最後の大きな兆候についてが言及されます。これらの兆候には3つの場所での地滑り、煙霧の発生、西からの日の出、大地の獣の出現、そして人々を特定の地へと追いやる炎の発生が含まれます。

  • より ジャマールッディーン・ザラボゾ (ゥ 2012 IslamReligion.com)
  • 掲載日時 21 May 2012
  • 編集日時 21 May 2012
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3つの場所での地滑り

ハディース(預言者ムハンマドの言葉)の引用で既述されたように、審判の日の大きな兆候の1つとして、3つの場所で起きる地滑りがあります。それには東で起きるもの、西で起きるもの、そしてアラビア半島で起きるものがあります。それらの出来事については、あまり詳しい叙述がされていません。したがって、それに関しては詳しく述べることが限られています。しかしイブン・ハジャルによる有名なハディース解釈では、地滑りは世界中の各所で頻繁に起きるものであるゆえ、審判の日の間近に起きる地滑りは、一般的なものと比べて大規模で熾烈なものとなるとしています1。神が最もよくご存知です。

煙霧

預言者(神の慈悲と祝福あれ)が言及した大きな兆候のうちの1つには、「煙霧」に関するものがあります。神はクルアーンにおいて、この出来事について触れています。

“待っていなさい、天が明瞭な煙霧を起す日まで。(それは)人びとを包む。(かれらは言う)。「これは痛ましい懲罰です。」”(クルアーン44:10−11)

ここでも、明確に述べられていること以外には付け加えるべきことはありませんが、預言者が次のように述べたハディースが存在しています。

“実に、あなたがたの主は3つ(の出来事)について訓戒されています。信仰者を寒気のように包みこむ煙霧、そしてそれは不信仰者の耳から出てくるまで彼らを腫れ上がらせるのです。”

西からの日の出

多くのクルアーン注釈者たちによれば、預言者のハディースに基いて、下記の下線が施された節は、復活の日の直前に起きる、西から日が昇る現象について述べられたものであるとされています。

“彼らは、ただ天使たちがやって来るのを待つのか、または主が臨まれるか、または(審判の日の接近を知る)主の印の一部がやって来るのを待つばかりである。主の何らかの印がやって来る日、前もって信仰して善行に励んでいない限り、彼らの信仰が魂に役だつことはないであろう。言ってやるがいい。「あなたがたは待て。私も待つものである。」”(クルアーン6:158)

 ある真正な伝承では、預言者が西からの日の出について言及した後、この節を朗誦したとされています。アル=ブハーリーは、預言者がこう言ったことを記録しています。

“「その時」は、日が西から昇るまでは確立されません。そして人々が(西から昇る日を)見るとき、彼らは皆信じるでしょう。そしてその時になって信じても、魂には何の益もないのです。”そして彼は節(6:158)を朗誦した。

預言者は数々の伝承において、この兆候は、人々がそれらを目にしたときには不信仰・疑念・拒否の余地が全くなくなるということを、これ以上ない程明確にしています。人がこうした兆候を経験し、現実にさらされるために、それが試練であるという感覚がなくなるのです。事実、そのときになると試練は終わっているのであり、個々人は目の前に結果が現れるのを見ることとなるのです。それゆえ、その時になってから信仰を受け入れることは無意味であり、神によって受け入れられないものとなるのです2

しかし、それが起きる前に神へと悔悟する機会、そして神の慈悲は常に開かれています。神の慈悲は偉大ですが、同時に公正でもあり、英知に基づいています。ムスリムは預言者が次のように言ったことを記録しています。

“(復活の日間近、)西から日が昇る前に(主の)悔悟を求める者へ、神はそのご慈悲をお向けになるでしょう。”

西から昇る日は、最も決定的な兆候のうちの1つであり、預言者はこう言っています。

“3つのことが起こるとき、それまでは信じていなかった人々、または信仰をないがしろにした人々の信仰は益しません。(それら3つとは)日没の方角から昇る太陽、ダッジャール、そして大地の獣です。”3

また、ムスリムは預言者がこう言ったことも記録しています。

“最初の兆候4とは西から現れる太陽、昼前に人々の前に現れる獣であり、それらのうちの片方が先に起これば、もう片方が直ちに続くでしょう。”

そして、次の兆候として大地の獣が現れるのです。

大地の獣

神はクルアーンにおいて述べています。

“彼らに対し御言葉が実現される時、われらは大地から一獣を現わし、人間たちがわが印を信じなかったことを告げさせよう。”(クルアーン27:82)

 この節では、審判の日間近になると現れる大地の獣が言及されています。

獣が現れると、それは人々を識別して誰が信仰者で誰が不信仰者なのかを宣言します。アフマドは預言者が次のように言ったことを、記録しています。

“獣が現れると、人々の鼻に焼印を押し付けるのです。人々はこうした焼印を押された状態で生活を続けなければならず、それはたとえばある人がラクダを購入すれば、こう問われる程でしょう。「誰からそれを買ったのだ?」そして彼はこう応えます。「焼印を押された人からだ。」(アル=アルバーニー)

人々を集める炎

これは大きな兆候の中でも、最後に起きるものです。この後、新たな経験と創造が始まるのです。ムスリムは預言者が10の大きな兆候を述べた後でこう締めくくったことを記録しています。「最後にはイエメンから炎が燃え立ち、人々を合同の場へと追いやるのです。」この炎の規模と、その時代に生きている人々が経験するであろう恐怖に関しては、想像に難くありません。この後人類に残されたことは、復活して主への謁見をすることなのです。

最後に

もちろん、なぜ神がこの創造をそのような驚異的な形で幕を閉じさせるのかということは誰にも分かりません。この創造は実に素晴らしく驚異的なものであるが故に、その終わり方も驚異的であることが似つかわしいのかも知れません。いずれにせよ、クルアーンと預言者はそれらの出来事について述べているため、ムスリムはそれらが将来起きるであろうことを確信しているのです。それらの出来事が発生すると、最後の時が確立されます。そして最後の時になると審判が始まりますが、全人類はもちろん、そのことを既に知っている人々は、いずれ起きるであろうその時のことを念頭に入れ、準備に取り掛からなければなりません。



Footnotes:

1 イブン・ハジャル、ファトフ・アル=バーリー、13巻、84頁。

2 クルアーンにおいて見出すことの出来る、この性質に見合った最良の例は、ファラオのものでしょう。彼は自らの死が明白となると、信仰を宣言したのです。

3 サヒーフ・ムスリム収録の伝承。

4 ここで言われている「最初の兆候」とは、非日常的な兆候のことであり、一般的な兆候ではないと理解されています。言うまでもなく、それらはダッジャール出現とイエス再臨の後に発生するからです。

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