経済と人生における利子の役割(2/7):イスラーム的立場

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説明: 現代社会においての利子の役割に対するイスラーム的観点と、その歴史的・現代的分析。第二部:利子の搾取を厳しく警告する、クルアーンとスンナのテキストの概要。

  • より ジャマールッ=ディーン・ザラボゾ (ゥ 2011 IslamReligion.com)
  • 掲載日時 24 Oct 2011
  • 編集日時 24 Oct 2011
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利子に関するイスラームのテキスト

Interest_and_its_Role_in_Economy_and_Life_(part_2_of_7)_001.jpg利子に関するイスラームのテキストを読むと、利子に携わることがいかに厳しく警告されているかを、直ちに理解することが出来るでしょう。イスラームは私通、姦通、同性愛、アルコールの消費、殺人などの不道徳な行いの数々を禁じます。しかしこれらの行為における様々な議論と警告の程度は、利子の搾取に関するものと同レベルではありません。このことは、サイイド・クトゥブをこう言わしめました:「いかなる問題であれ、利子ほどまでにクルアーンの中で強く咎められ、非難されているものはありません。」1

例えばクルアーンには、利子に関する次のような節があります:

“あなたがた信仰する者よ、倍にしまたも倍にして、利子を貪ってはならない。神を畏れなさい。そうすればあなたがたは成功するであろう。そして信仰を拒否する者のために準備されている業火を恐れなさい。”(クルアーン3:130−131)

信仰者に向けての余りに厳しいこの警告は、破滅的な結末について戒めます。それは、不信仰者のために用意された地獄の炎の中に投げ込まれることなのです。

神はこのようにも述べられています:

“利息を貪る者は、悪魔にとりつかれて倒れた者がするような起き方しか出来ないであろう。それは彼らが「商売は利息をとるようなものだ。」と言うからである。しかし神は商売を許し、利息を禁じておられる。それで主から訓戒が下った後、止める者は過去のことは許されよう。彼のことは神(の御手の中)にある。だが(その非を)繰り返す者は、業火の住人で、彼らは永遠にその中に住むのである。神は、利息(への恩恵)を消滅し、施し(サダカ)には(恩恵を)増加して下される。神は忘恩な罪深い者を愛されない。(クルアーン 2:275−276)

これらの節々には、興味深い点がいくつもあります。マウドゥーディーは最初の部分の注釈で、こう記しています:

通常の理性によっては束縛されない狂人があらゆる法外な行為に走るように、利子を搾取する人物もまた同様なのです。彼はあたかも狂人であるかのように、富への欲望に走ります。彼は利子が人類愛、兄弟愛、同胞愛を根本から覆すものであることを顧みず、人間社会の福祉と幸福を傷つけ、彼の富が他の多くの人々の犠牲の上に成りなっていることには無頓着なのです。これはこの世における彼の「狂気」の状態です。人は来世において現世で死んだ状態において蘇らせられるため、彼は狂人として復活させられるのです。2

第二に、この節は合法的な商取引と利子には違いがあることを非常に明確にします。それらの違いは極めて顕著であるために、節では説明がなされない程ですが、これはクルアーンの独特な様式の一つでもあります。第三に、この節では明確に 神は、利息(への恩恵)を消滅し、施し(サダカ)には(恩恵を)増加して下される”と述べています。これは、人間が自ら発見することが出来るとは限らない、神の「法」の一つです。現世と来世における個人、コミュニティ、そして世界全体に対する利子の究極的かつ完全な負の影響は、神のみぞ知るです。しかしこの節の真実性を証言する、それらの負の影響の一部は、この論考の後半にて垣間見ることが出来ます。事実、恐らくこの節の意味を浮き彫りにして、預言者(神の慈悲と祝福あれ)はこのように言っています:「利子は、たとえ大きな量であれ、最後には小さな量になるのです。」3疑いの余地なく、来世において個人が神に謁見するとき、彼が非合法的な方法で蓄積したあらゆるものは、彼自身の破滅のもととなるのです。

上記の節のすぐ後に、神はこのように述べています:

“あなたがた信仰する者よ、(真の)信仰者ならば神を畏れ、利息の残額を帳消しにしなさい。もしあなたがたがそれを(放棄)しないならば、神とその使徒から、戦いが宣告されよう。だがあなたがたが悔い改めるならば、あなたがたの元金は取得できる。(人々を)不当に扱わなければ、あなた方も不当に扱われない。”(クルアーン 2:278−279)

どのような真っ当な思考を持った人物が、神とその使徒による戦いの宣告に自らを晒すようなことをするでしょう?これよりも強い警告は、滅多に見出すことは出来ません。節の最後で、神は利子が禁じられている理由を非常に明確にします。それは不正な犯罪だからです。それに当たるアラビア語はズルムといい、人が他者や自分の魂に対して不正、または危害や抑圧を与えることを意味します。この節では、利子が神によって禁じられているのは、その規定の裏に何の理由もなく、ただ単にそうされているのではないことを示しています。利子は明らかに有害であることから禁じられているのです。

クルアーンの節に加え、預言者ムハンマド(神の慈悲と祝福あれ)もまた、利子に関する多くの言葉を残しています。例えば以下の言葉は、その行為の重大性を示します:

“七つの大罪を避けるのです:それらは神に同位者を設けること、魔術、法によって認められる場合以外に神の禁じた魂を殺害すること、利子の搾取、孤児の富の搾取、二つの軍隊が対峙した際に逃亡すること、そして無実で貞節な信仰者の女性を不当に中傷することです。”(アル=ブハーリー、ムスリム)

預言者(神の慈悲と祝福あれ)によるもう一つの言葉は、神を畏れる人物にとって利子を完全に遠ざけるに十分でしょう。預言者(神の慈悲と祝福あれ)はこのように言われました:

“人が意図的に消費した、利子から得た一枚の硬貨は、神の見地からすれば、36回の不法な性交渉よりもたちが悪いのです。”(アッ=タバラーニー、アル=ハーキム)

教友ジャービルは神の使徒(神の慈悲と祝福あれ)が利子を取る人物、利子を払う人物、それ(利子に基づいた取引)を証言する人物、そしてそれを記録する人物をみな呪ったことを報告しています。彼はこうも言いました。「彼らはみな同様である。」(ムスリム)

これはイスラームの基本原則です。何かが禁じられ、間違ったものであれば、ムスリムはいかなる方法でもそれに関与したり、支持したりするべきではないのです。それゆえ、禁じられている利子の取引を目撃すること、記録することなども禁じられているのです。預言者の言葉は、利子を支払う者と受け取るものには違いのないことも説明しています。なぜなら彼ら双方は卑しむべき行為に加担しているからであり、双方等しく非難に値するからです。

預言者ムハンマド(神の慈悲と祝福あれ)はこのようにも言っています:

“もし不法な性交渉と利子が公にまかり通るようになったなら、彼らは自分たちで神の懲罰の扉を開けているのです。”(アッ=タバラーニー、アル=ハーキム)

この言葉は、神の「社会法」に言及されたものです。神の懲罰は現世または来世において、異なる形によってもたらされます。



Footnotes:

1 Sayyid Qutb, In the Shade of the Quran (Markfield, Leicester, England: The Islamic Foundation, 1999), vol. 1, p. 355.

2 Sayyid Abu Ala Mawdudi, Towards Understanding the Quran (Leicester, United Kingdom: The Islamic Foundation, 1988), vol. 1, p. 213.

3 アル=ハーキムによる記録。アル=アルバーニーのサヒーフ・アル=ジャーミイ・アッ=サギール1巻664頁3543番参照。利子は富を危険に晒すことなく、さらに富を増幅させる手段です。このことは長期的に見ると、必ずしも幸福をもたらすとは限らないのです:「General Social Survey (GSS) がビジネスウィーク(2000年10月16日号)で発表した研究によると、お金で幸福を買うのではなく、新たなライフスタイルとそれに伴う余波が益々不幸をもたらしているとしています。その研究によると、1970年代から1998年にかけて一人当たりの収入は増加しているものの、アメリカ人の幸福度は対照的に減少しているとしています。新たな社会的傾向による影響は、物質的な利益を凌駕しているのです。研究では、余分な収入が余分な幸福をもたらしている一方で、その影響は驚くほど低いというのです。また性別や世俗的地位の要素がより大きな比重を占めるとしています。他の発見としては、女性の幸福度が男性のそれよりも減少しているということです。離婚・別居率の増加は、家族構成とその構成員の精神状態に負の影響をもたらしています。ビジネスウィークはこう結論付けています:『それは少なくとも、収入の増加のみが幸福度の増加を保証すると思い込んでいる人々が、彼ら自身を欺いていたことを示唆しています。それはまた、失業率の増加や、より広がる収入の格差といった新たな経済の側面が、重大な精神的犠牲を孕んでいることを示しているのです。』」 Abdulhay Y. Zalloum, Painting Islam as the New Enemy: Globalization & Capitalism in Crisis (Technology One Group S.A. 2002), p. 357.

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