イスラームにおける女性割礼(前編):女性の割礼の歴史とその種類
- より IslamReligion.com
- 掲載日時 04 Jul 2011
- 編集日時 04 Jul 2011
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実際にはありふれたものでありながらも、残念ながらイスラームだけに結びつけられる慣習が、様々な種類の女子割礼、あるいはFGC1として知られるものです。確かに多くの割礼がイスラームの名のもとに行われていますが、現代世界で行われている本当に忌むべき種類の割礼の多くは、イスラームとは全く関係のないものです。それは純粋に文化的なものであり、イスラームとは無関係なのであり、イスラームがそのような行為を容認するわけがないのです。アムネスティ・インターナショナルはこう主張しています。「女性の割礼はイスラーム以前から行われていたもので、多くのイスラーム教徒はそれを行いません。それは単に宗教的形式を与えられただけなのです。2」女性割礼に関する教育・組織プロジェクトは、こう主張しています。「女性の割礼はイスラームの慣習ではありません。他の文化、宗教内でも行われていることです。中東やアフリカでは、イスラーム教徒、コプト系キリスト教徒、さまざまな土着の民族宗教、カトリック教徒、プロテスタントやその他多くの宗教で行われています。3」ユダヤ教の一宗派ファラシャは男女の割礼を行います4。それではまず様々な割礼の種類を学び、なぜ多くの文化が女性に対してそのような慣習を実践するのかを見てみましょう。
女性の割礼の種類
女性の割礼とは女性器の変形や除去を含む、全ての慣習のことを指します5。女性の割礼には三つの種類があります6:
タイプ1:この女性割礼が最も程度の軽いものです。この慣習では、女性のクリトリスを覆う包皮を除去するか、または切込みを入れ、陰核亀頭が表面に露出するようにします。このタイプではクリトリスの部分的、または全面的切除が行われます。これはクリトリドトミーと呼ばれており、国際連盟人口基金では男性の割礼と同等のものと見なされています7。またこのタイプは、イスラームにおいて女性の割礼を合法とする多くのイスラーム教徒がとり行っているため、「スンナの割礼」とも呼ばれます。
タイプ2:このタイプは陰核切除術と呼ばれており、クリトリスと小陰唇が部分的または全面的に切除されます。
タイプ3:このタイプが最も過激な種類の女性割礼であり、クリトリス、小陰唇と大陰唇、ワギナにかかる外陰の両端のつなぎを完全に切り取り、糸かまたは他のもので、それが治癒するまでの間つなぎあわせておくというものです。小さな、鉛筆の大きさほどの穴だけが尿と月経の血のために残されます。これは陰門封鎖、またはその由来からファラオの割礼と呼ばれます。
タイプ4:このタイプはあらゆる形式の割礼を含むものです。穿刺、穴あけ、クリトリスと小陰唇、またはクリトリスか小陰唇どちらかの切除、クリトリスと小陰唇、またはどちらかの引き延ばし、クリトリスとその周りの神経を焼くことによる焼灼、イントロシジョン、擦過、ワギナとその周りの組織の切り取り、腐食性の物質または薬草を陰部に塗ることなどです。
Geography 地理的分布
様々な形の女性割礼が世界中で行われていますが、とくにサハラ・アフリカ周辺と、その東方に帯状に広がるセネガルからソマリアにかけての地域でよく行われています。また中東や南北アメリカ、インドネシアやマレーシアでも行われます。タイプ3はソマリア、スーダン、南エジプト、マリとナイジェリアなどのいくつかの地域でしか行われていません。
ソマリア、エリトリア、エチオピアではほとんど全ての女性がタイプ3を経験します。その理由は、女性のクリトリスが切除されていないと不潔と見なされるためとか、結婚まで女性が純潔であることを確かめるため、など様々です。この慣習は非常に古いもので、その文化に属する人々は、懲罰を恐れてその慣習を捨てることができずにいます。女性は結婚できなくなるかもしれないし、姦淫の疑いをもかけられるかもしれません。家族はこの慣習を守らないと、名誉を失うかもしれないのです。
また女性の割礼は北アメリカ、特にアメリカ合衆国でよく行われていた慣習で、タイプ1〜3は1950年代まで女性の性欲を制御するためによく行われていました。陰核切除術もまた、様々な理由で行われていました。一番よく挙げられた理由が女性の自慰行為を減らすためでした。イギリスではアイザック・ベイカー・ブラウン氏が陰核切除で女性の自慰行為を止めた、という本を出版しました。また彼はそれによって、ヒステリーやてんかんなどの困難な神経疾患も治したというのです8。自慰行為に対する解決策には、他の方法もありました。夫が外に出ているときに妻の貞操を守るための貞操帯は、中世に最初に取り入れられたものです。男子の自慰行為を防ぐために、スパイク付きの輪、焼しゃく、去勢といった過激な方法が取り入れられたこともあります9。
最も権威のある小児科の教科書「小児と子どもの期間における病気」は1897年から1940年にかけて11回も出版されたのですが、著者のL. E. ホルトはクリトリスの焼しゃくと大陰唇を焼くことは、自慰行為を防ぐ方法だと主唱しました。自慰行為は神経症や不従順、親への反抗などの様々な病の理由だと見なされていたのです10。
またアメリカ合衆国では開口手術組織という組織が設立され、彼らは頭痛といった小さなものにまでおける陰核切除の効能を紹介した記事を出版しています。
クリトリドトミーを行うことによってもたらされる、多くの衛生的利点もあります。C.F.マクドナルド氏は1958年の「女性の割礼」という題の学術記事11でこう述べています。「もし男性が清潔さのために割礼が必要というのなら、女性もそうでしょう。私は割礼が必要だった40人もの患者を治療しました。」この著者は女性割礼が、かゆみ、かきむしり、不快感、自慰行為、性交疼痛や不感症を引き起こす恥垢石を治癒すると述べています。
またつい最近まで、クリトリスは不潔なものだと見なされていました。現代心理学の創設者の一人であるジークムント・フロイトでさえ、「性欲と愛の心理学」で「クリトリスの性器を除去することは、女性らしさを発達させることにおいて必要です。」と述べています。
今日では西洋でも、多くの成人女性がクリトリドトミーを執り行っています。多くの医者12やその他の専門家たち13が、性的歓喜を増大させるという理由でクリトリドトミーを促しているからです。彼らは大きすぎるクリトリスの包皮はクリトリスの刺激を妨げてしまうと言います。Circlist、BMEzine,、Geocitesといったウェブサイト、そして施術した人々や医療記事などが、女性の割礼を推奨しています。多くの女性が施術後、性的歓喜が増大したと報告しているのです。(ラスマンズの1959年の研究14で87、5%、ノーウェルズの研究で75%)
Footnotes:
1 この慣行の反対者らは女性器切除またはFGM(Female Genital Mutation)という用語を使用しますが、最近では社会的論争が巻き起こるのを避けるためFGC(Female Genital Cutting)という用語が広く使用されています。
2 What is Female Genital Mutilation? Amnesty International.. (http://web.amnesty.org/library/Index/ENGACT770061997?open&of=ENG-370)
3 Female Genital Cutting (FGC): An Introduction, Marianne Sarkis. (http://www.fgmnetwork.org/intro/fgmintro.html).
4 Andree, “Zur Volkskunde der Juden,” p. 84.
5 Female Genital Cutting (FGC): An Introduction, by Marianne Sarkis (http://www.fgmnetwork.org/intro/index.html).
6 Female Genital Mutilation: Report of a WHO Technical Working Group, Geneva, 17-19 July 1995.” World Health Organization: Geneva. 1996.
7 Frequently Asked Questions on Female Genital Mutilation/Cutting (http://www.unfpa.org/gender/practices2.htm#4).
8 “The Ritual of Circumcision”, by Karen Ericksen Paige. Human Nature, pp 40-48, May 1978.
9 ibid.
10 ibid.
11 McDonald, C.F., M.D (September, 1958). “Circumcision of the Female.
12 Ezzell, Carol (October 31, 2000). “Anatomy and Sexual Dysfunction”.
13 Clitoral Circumcision. Tantra * Kama Sutra * Tantric Sex & Tantric philosophy.
14 Rathmann, W.G., M.D. (September, 1959). “Female Circumcision: Indications and a New Technique.”
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