鉄の奇跡
説明: クルアーンは、あたかも20世紀の科学にとって馴染み深い考え方である「鉄は大地から産する」ということを否定し、「鉄は“下った”ものである」ということを示しているかのようです。
- より A.O.
- 掲載日時 14 Dec 2009
- 編集日時 06 Mar 2023
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鉄はクルアーンにおいて、特に強調された元素の一つです。クルアーンの中の「アル=ハディード(鉄)」という名で知られる章には、このようなくだりがあります。
“またわれ(神)は鉄を下した(“アンザルナー”)。それには偉大な力があり,また人間のために種々の便益を供する…。” (クルアーン 57:25)
この節の中で、アラビア語の“アンザルナー”という言葉は“われが下した”と訳されています。ここで鉄に対して“下した”という言い回しが使われているのは、鉄が人々のために様々な益を提供すべく授けられたということを明らかにするための、比喩的な意味ゆえであるとも考えられます。しかし字義通りの意味を考慮に入れるならば、“物質的に空から下された、というこの言葉の語法はクルアーンの中において、雨や啓示の下降のような、直訳的な意味以外には用いられていません。そしてこのことから、私たちはこの章が大変重要な科学的奇跡を示していることに気づきます。というのも現代の天文学的発見において、私たちの世界で発見された鉄は、宇宙の巨大な星々から来たものであることが明らかにされているからです。
地上の鉄どころか、全太陽系に存在する鉄も大気圏外の宇宙から来ています。それは太陽の温度が鉄の形成には不十分なためです。太陽の表面は、摂氏6000度、その中心部の温度はおよそ20万度にも達しますが、鉄はその温度が何百万度にも及ぶ、太陽よりも大きな星でのみ形成されます。そして鉄の量がその星での一定水準量を超えると、その星は鉄を含有することが出来なくなり、徐々に“新星”または“超新星”と呼ばれる星の中で爆発します。そしてこれらの爆発が、宇宙への鉄の放出を可能にするのです。
ある科学情報筋は、この論題について以下のような情報を提供しています。
“古い超新星事象にも証拠があります。深海堆積物の鉄-60の強化水準は、超新星爆発がおよそ500万年前に太陽から90光年以内の距離で起こったことを示しています。鉄-60は鉄の放射線同素体であり、超新星爆発により形成され、150万年の半生により朽ちてしまいます。地質学的地層にあるこの同素体の強化されたものは、宇宙内の近隣の諸要素が最近核合成されたこと、そしてそれらに後続したものが(おそらく埃の一部として)地球まで運ばれたことを示しています。
これら全ては、鉄が地球内で形成されたのではなく、超新星から運ばれこと、そして上記の章で言及されている通り“下された”ことを示しています。この事実が、クルアーンの啓示された紀元7世紀当時において知られていなかったことは明らかです。にも関わらず、この事実は無限の知識において全てを網羅している神の言葉、クルアーンの中において言及されているのです。
実際クルアーンの章は、鉄が大変驚くべきものであることを特筆していますが、しかしながらこれらの発見は20世紀末になされたものであると見なされています。有名な微生物学者マイケル・デントンは彼の著書「自然の運命」において、鉄の重要性をこう強調しています:
全ての金属の中で、鉄以上に生活に必要不可欠なものはありません。超新星の爆発と、それに引き続いて生命の活性化された原子が全宇宙に散乱することを促すのは、星の中心における鉄の蓄積なのです。そして地球において最初の科学分化を起こすことになった熱や、原初期の大気におけるガスの放出、また究極的に水圏の形成を引き起こす原因となったのは、初期段階において地球がその中心に存在する鉄原子の重力により引っ張られたためだったのです。地球の中心で溶けた鉄は巨大な発電機のように働きを担い、地球の磁場を発生させ、そうすることによって破壊的な高エネルギーで貫通する宇宙の放射線から地球の表面を守り、宇宙光線の破壊から重要なオゾン層を保護するヴァン・アレン電磁場帯を形成するのです…。
鉄の原子なしには、宇宙において炭素を元とする生命は存在しなかったでしょう。また超新星、原始地球の熱、大気または大気中の水も存在しなかったでしょう。そして地球を保護する磁場やヴァン・アレン放射線帯も、オゾン層も、人間の血液内のヘモグロビンを作る金属も、酸素の反応性を制御する金属も、酸化代謝もなかったでしょう。
“生命と鉄、そして血液の赤色と遠くにあるいくつかの星の色合いとの間の興味深い親密な関係は、生物学における金属の関連性を示すだけでなく、宇宙の生物中枢性をも示しているのです…
この見解は、鉄分子の重要性を明らかに示しています。事実クルアーンの中において鉄には特別な注目が向けられ、その要素の重要性が強調されているのです。
更に、鉄酸化物粒子は最近がん治療に使われ、積極的な発展が観察されています。世界的に有名なドイツのシャリテ病院のアンドレアス・ジョーダン医師率いるチームは、がん治療の新しい技術の発展―磁性流体温熱療法(高温の電磁流体)により、がん細胞を破壊することに成功しました。この技術は26歳のニコラウス・H.に初めて適用され、施術されましたが、この手術後3ヶ月に渡って彼に新しいがん細胞が観られることはありませんでした。
この治療法は以下のようにまとめられます:
1. 鉄酸化粒子を含む液体は、特別な注入器で腫瘍に注射されます。これらの粒子は腫瘍細胞を通って広がります。この液体は何千、何万もの粒子から成り、赤血球よりも1000倍小さく、鉄酸化物の1 cm3であり、全ての血管を簡単に通って流れることが出来ます。
2. それから患者は、強い磁場を備えた機器へと移されます。
3. この磁場は外部に施され、鉄粒子を腫瘍の中に浸透させ始めます。この間、鉄酸化粒子を含んだ腫瘍の温度は45度にまで上昇します。
4. こうして数分の内に、がん細胞は熱から自分自身を守れなくなり、弱体化するか破壊されるかします。腫瘍はその後、継続的な化学療法により全滅します。
この治療においては、がん細胞のみが鉄酸化粒子を含むことから、磁場によってその細胞のみが影響されることになるのです。この技術の広がりは、この致命的な可能性のある病気の治療における大きな発展です。また鉄は、貧血に苦しむ人々の治療としても発見されています。このように広く蔓延する病気の治療における鉄の役割を見ると、クルアーンの“それ(鉄)には偉大な力があり、人また人間のために種々の便益を供する”(クルアーン57:25)という表現は特に注目に値します。実際のところクルアーンはその章の中で、鉄が人間の健康にとってさえも有益であることを示しているのかも知れません(神が一番よくご存知です)。
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