イスラームにおけるイエス(2/3)

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説明: イスラームにおけるイエス:第二部:イエスの神性とその使命に関する議論。

  • より M. Abdulsalam (IslamReligion.com)
  • 掲載日時 06 Dec 2009
  • 編集日時 12 Dec 2009
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イエスの神性

ムスリムは、神は絶対的唯一者であり、人間が有するような限界や欲求を超越した至高者であると信じます。神に同位者はなく、あらゆるものの創造主であると同時に、それらの創造物からは完全にかけ離れている存在なのです。そして全ての崇拝行為はかれのみへと向けられなければなりません。

これはイエスを含む、全ての神の預言者がもたらした同一の教えです。イエスは一度も自身の神性の主張、そして自らが崇拝に値するなどと主張したことはありませんでした。また彼は自身が“神の子”である、または“三位一体”の一部であると発言したこともありません。ただ逸脱したユダヤ人に対して神のみを崇拝させ、彼らを戒律に従う真実の教えに回帰させるために遣わされた、神の忠実なしもべだったのです。イエスに関して言及するクルアーンの節々の大半も、こういった見解を示しています。そしてそれらの節々は、人々が彼に対して捏造した虚偽をもとに、崇拝の対象とされてしまったという事実を明確にします。それらはイエス自身が、自らが崇拝に値するという権利をはっきりと否定した彼の人生を記述し、また神が提示した例えが彼の不死性や神性、そして神の御子であることを否定しているという見解を支持しているのです。神はクルアーンの中で、イエスに関してこう述べています:

“「神こそは、マリアの子キリストである。」と言う者は、確かに不信心者である。しかもキリストは言ったのである。「イスラエルの子孫よ、私の主であり、あなた方の主であられる神に仕えなさい。」”(クルアーン 5:72)

また神は、イエスが“三位一体”の一部であるという信仰に対してはこう述べています:

“「神は三(位)の一つである。」と言う者は、本当に不信心者である。唯―の神の他に神はないのである。もし彼らがその言葉を止めないなら、彼ら不信心者には、必ず痛ましい懲罰が下るであろう。彼らは何故、悔悟して神に返り、その御赦しを求めようとしないのか。誠に神は寛容にして慈悲深くあられる。マリアの子キリストは、一人の使徒に過ぎない。彼の以前にも使徒たちがあって、逝ったのである。彼の母は誠実な婦人であった。そして彼ら両人は食べ物を食べていた。見よ、われが如何に彼らに印を明示したかを。また見よ、如何に彼ら(不信者)が迷い去るかを。”(クルアーン 5:73−75)

また、次のようにも述べられています:

“啓典の民よ、宗教のことに就いて法を越えてはならない。また神に就いて真実以外を語ってはならない。マリアの子イエス・キリストは、只神の使徒である。マリアに授けられたかれの御言葉であり、かれからの霊である。だから神とその使徒たちを信じなさい。「三(位)」などと言ってはならない。止めなさい。それがあなた方のためになる。誠に神は唯―であられる。かれに讃えあれ。かれに、何で子があろう。天にあり、地にある全てのものは、神に属する。神は管理者として万全であられる。”(クルアーン 4:171)

そして神は、かれを冒涜するそのような信仰を、大罪と見なします:

“また彼らは言う。「慈悲深き御方(神)は子を設けられる。」確かにあなた方は、酷いことを言うものである。天は裂けようとし、地は割れて切々になり、山々は崩れ落ちよう。それは彼らが、慈悲深き御方に対し、(ありもしない)子の名を(執り成すものとして)唱えたためである。子を設けられることは、慈悲深き御方にはありえない。天と地において、慈悲深き御方のしもべとして、罷り出ない者は唯の1人もないのである。”(クルアーン 19:88−93)

イエスは審判の日に、この虚偽の主張が間違っていることを自ら証言するでしょう。神は彼に、なぜ人々が彼を崇拝したのかと質問します。そして神はその受け答えの一部を、次のように明らかにしています:

“また神がこのように仰せられる時を思え。「マリアの子イエスよ、あなたは『神の他に、私と私の母とを2柱の神とせよ。』と人々に告げたか。」彼は申し上げるだろう。「あなたに讃えあれ。私に権能のないことを、私は言ってはおりません。もし私がそれを言ったならば、必ずあなたは知っておられます。あなたは、私の心の中を知っておられます。だが私はあなたの御心の中は知りません。本当にあなたは全ての奥義を熟知なされています。私はあなたに命じられたこと以外は、決して彼らに告げません。『私の主であり、あなた方の主であられる神に仕えなさい。』…”(クルアーン 5:116−117)

これらの節々で、神はイエスを‘神の子’、または‘三位一体の一部’として崇めることは、深刻で重大な冒涜であると宣言しています。というのも神は唯一無二であり、本質的にその創造物とはかけ離れており、そして独自の神性と性質、そして主権を有しているからです。これら全ては神が諸啓典において啓示した厳格な一神教の教えであり、それは十戒の中にも認めることが出来ます:

“それから神はこれらの言葉を、ことごとく告げて仰せられた。「わたしは、あなたをエジプトの国、奴隷の家から連れ出した、あなたの神、主である。あなたには、わたしの他に、他の神々があってはならない。”(出エジプト記 20:1−3)

神に子供を配することは、かれが創造し、諸預言者を遣わせた原則に相反します。神はクルアーンの中でこう述べられました:

“ジンと人間を創ったのはわれに仕えさせるため。”(クルアーン 51:56)

また、かれは述べられました:

“本当にわれは、各々の民に一人の使徒を遣わして「アッラーに仕え、邪神を避けなさい。」と(命じた)。”(クルアーン 16:36)

イエスの使命

前述したように、クルアーンはイエスが預言者であり、それ以上の存在ではないという事実を明確にしています。諸預言者が創造物の中において最良の地位を占めており、神が啓示を下すために選び抜いた者たちであることに問題はないのですが、その一方で彼らは神の使徒に過ぎず、崇拝を受けるには値しないのです。クルアーンで述べられているように、イエスもその例外ではありません。

尚イエスはクルアーンの中では終始、モーゼと他の諸預言者の教えから逸脱したユダヤ人に遣わされた神の預言者という描写をされています。

“マリアの子イエスが、こう言った時を思い起せ。「イスラエルの子孫たちよ、本当に私は、あなた方に(遣わされた)神の使徒で、私より以前に、(下されている)律法(トーラー)を確証し、また私の後に来る使徒の吉報を与える。」”(クルアーン 61:6)

マリアの子、イエス・キリストは一連のユダヤ人に遣わされた諸預言者の最後の者でした。彼はモーゼの律法であるトーラーの教えに従って生き、同じことを彼の弟子たちに説きました。マタイの福音書5:17−18において、イエスはこのように語っています:

“私が来たのは律法や預言者を廃棄するためだと思ってはなりません。廃棄するためではなく、成就するために来たのです。あなた方に告げます。まことに、天地が滅びうせない限り、律法の中の一点一画でも決してすたれることはありません。全部が成就されます。”

この観点から、彼の教えは神のみへの崇拝と、かれの戒律を守るよう説いた過去の諸預言者のものと何の変わりもないことが分かります。神の奇跡によって支えられた彼の受胎、誕生、幼少期、そしてその生涯においてもたらされた様々な奇跡などによって、彼は神の預言者であることを証明されました。しかし、ユダヤ人の大半は、彼の預言者性を否定しました。

またイエスは彼以前に啓示された諸啓典の存在を確証しただけでなく、彼の後に現れるもう一人の預言者についても予告をしました。神はこう述べています:

“マリアの子イエスが、こう言った時を思い起せ。「イスラエルの子孫たちよ、本当に私は、あなた方に(遣わされた)神の使徒で、私より以前に、(下されている)律法を確証し、また私の後に来る使徒の吉報を与える。その名前は、アハマドである。」だが彼が明証をもって現れた時、彼らは「これは明らかに魔術である。」と言った。”(クルアーン 61:6)

この事実は新約聖書でも言及されています。そして綿密な研究により、イエス(彼に平安あれ)自身もその預言者について述べていたことが明らかになっているのです:

“私は父にお願いします。そうすれば、父はもう一人の助け主をあなた方にお与えになります。その助け主がいつまでもあなた方と、ともにおられるためにです。” (ヨハネの福音書 14:16−17)

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