ペルシャ人のサルマーン 元ゾロアスター教徒(前半):ゾロアスター教からキリスト教へ
説明: 最も偉大な教友の一人で、元ゾロアスター教徒(マギ教徒)だったペルシャ人サルマーンが、真の神による宗教の探求の旅について語ります。第一部:ゾロアスター教からキリスト教へ。
- より ペルシャ人のサルマーン
- 掲載日時 17 Feb 2014
- 編集日時 17 Feb 2014
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預言者ムハンマド(神の慈悲と祝福あれ)の祝福された教友、「ペルシャ人サルマーン」が、イスラームへの旅について語ります1。
“私はイスファハン[1]のジャイとして知られる町出身のペルシャ人です。私の父は町長でした。彼にとって私は、神の被造物の中で最も愛される者でした。私への深い愛情から、彼は灯した火の管理[2]を私に任せるほどでした。彼はそれが消えてしまわないように努力したものです。
私の父は広範囲の肥沃な土壌を所有していました。ある日、建築作業に忙しかった彼は、私が畑に行き、彼の代わりに農作業をするよう言いました。畑への途中、私はキリスト教の教会を通りかかりました。そこからは祈りを捧げる人々の声が聞こえました。父は私を家の中に閉じ込めていたため、私は人々が外でどういう暮らしをしているのか知りませんでした。そのため、(教会の)人々を通りかかり、彼らの声を聞いた私は、その中に入って彼らが何をしているのか見てみることにしました。”
彼らを目にしたとき、私は彼らの礼拝を気に入り、彼らの宗教に興味をもちました。私は(自分自身に)こう言いました。“神に誓って、この宗教は私たちのものよりも優れているものだ。” 神に誓って、私は日没までそこに居続けました。私は父の畑には行きませんでした。
私は(教会の人々に)尋ねました。“この宗教はどこの由来なのですか?”
“彼らは言いました。‘アッ=シャーム6だ。’
私は、私のことを心配し、使いを送ってきた父の元に戻りました。私が到着すると、彼は言いました。‘息子よ!一体どこに行っていたのだ?私はお前に仕事を任せてはいなかったか?”
私は言いました。“父よ、私は教会で祈る人々に通りがかり、彼らの宗教を気に入りました。神に誓って、私は日没まで彼らの元に留まっていました。”
父は言いました。“息子よ! その宗教に良いところは何もない。お前とお前の父祖の宗教はより優れているのだ。’ ”
“いいえ。神に誓って、あれは我々の宗教よりも優れています。”
彼は私を脅し、両足に鎖をかけ、家に閉じ込めました。私はキリスト教徒たちに手紙を送り、もしキリスト教徒の隊商がアッ=シャームから到着したら教えてくれるよう要請しました。隊商が到着すると、彼らは私に告げてくれたため、私は彼ら(キリスト教徒たち)に隊商の人々が商取引を終え、彼らの国に帰るときが来たらまた教えてくれるよう頼みました。私は彼らから(実際に)その通知を受け、アッ=シャームの人々は国に帰る準備をしていたため、私は足の鎖を外し、(隊商に)加わってアッ=シャームまで旅をしました。
到着後、私は尋ねました。“(あなたの)この宗教における最善の人々は誰ですか?”
彼らは言いました。“司教だ。(彼は)教会にいる。”
私は彼の元ヘ行き、言いました。“私はこの宗教が好きです。私はあなたから学び、あなたと共に礼拝をすることが出来るようになるよう、あなたと留まり、あなたの教会に奉仕したいと思います。”
彼は言いました。“ここに入り、私と一緒に留まることを許可しよう。” こうして、私は彼の教会に入りました。
サルマーンはしばらく経つと、実際には司教が悪人であり、人々に喜捨を払うよう求めつつも、それを自分自身のために蓄えていたことを発見します。彼は貧者に分け与えたりはせず、7つもの壺に金銀を貯めていました。サルマーンは続けます:
彼の行いから、私は彼を軽蔑しました。
彼(司教)は死にました。キリスト教徒たちは彼を埋葬するため集合しました。私は彼らに、彼が自分自身の蓄えのために人々に喜捨を促し、それらを全く貧者に分け与えはしなかった悪人であったことを告げました。彼らは言いました。“どうしてそのことを知ったのだ?”
私は答えました。“彼の財産をお見せしましょう。”
彼らは言いました。“見せなさい!”
私は彼の(蓄えていた)場所を示し、彼らは金銀のつまった7つの壺を回収しました。それらを見た彼らはこう言いました。“神に誓って、我々は絶対に彼を埋葬したりはしない。” そして彼らは彼を十字架にはりつけにし、投石したのです。7
彼らは新しい司教を任命しました。私は彼(新司教)よりも優れた礼拝をする人物を目にしたことがありませんでした。また、彼よりも現世から離れ、来世に重きを置く人物、または昼夜に渡って働き通した人物を見たことがありませんでした。私は彼を、それまで愛した誰よりも愛しました。
私は彼が亡くなるまでの期間を彼と過ごしました。彼の死が近づいたとき、私は彼に言いました。“私はあなたと留まり、それまで愛した誰よりもあなたを愛しました。神の定め(死)がもたらされる今、あなたは誰を(私が一緒に過ごすことを)勧め、何を私に命じますか?”
司教は言いました。“神に誓って! 人々は完全に道を失っている。彼らは自分たちの宗教をねじ曲げ、変えてしまった。私は、モースル8の男よりも私たちの宗教に依然として留まっている人物を知らない。それゆえ、彼と共にあるのだ(そして彼は彼の名を教えてくれました)。”
彼が亡くなると、サルマーンはモースルへ行き、彼の勧めた人物と出会いました。
私は彼に言いました。“(ある人物が)死の床で私に、あなたと共にあることを私に勧めました。彼はあなたが(我々と同じ宗教に)留まり続けていると教えてくれました。” 私は彼と留まり、彼が人々の中でも最善の人物であることを見出しました。
やがて彼も亡くなりました。死が近づいたとき、サルマーンは(それまでと同じように)同じ宗教に留まっている別の人物を勧めてくれるよう彼に頼みました。
男性は言いました。“神に誓って! 私はナスィービーン9の人物以外に、私たちと同じ(宗教)に留まっている人物を知らない。彼の名前は(何某である)。彼の元ヘ行き、彼と共にありなさい。”
彼に死が訪れると、私はナスィービーンの男性の元へと旅しました。” サルマーンはその人物を見つけ、彼のもとにしばらく留まりました。そしてそれまでと同じことが起きました。彼に死が近づき、彼が死ぬ前にサルマーンは、どこの誰に従うべきか助言を求めました。男性は、サルマーンが同じ宗教に留まっている、アムリア10の別の男性の場所へ行くよう助言しました。
彼の死後、サルマーンはアムリアに移動しました。彼は助言通りの人物を見つけ、彼に加わりました。サルマーンは働き、“何頭かの牛と一匹の羊を手に入れました。”
アムリアの男にも死が近づきました。サルマーンは助言を求めましたが、(今回の)答えは異なるものでした。
男は言いました。“息子よ! 私たちの留まる宗教に留まっている者を私は誰も知らない。しかし、あなたの生きている間に預言者が現れるが、この預言者はアブラハムと同じ宗教に留まっている者である。”
男はこの預言者についてこう説明しました。“彼はアブラハムと同じ宗教によって遣わされる。彼はアラビアの土地から現れ、(火で焼かれたような)黒石に満たされた2つの土地の間に移住するであろう。これら2つの土地の間にはヤシの木が生い茂っている。彼は特定のしるしから判別することが可能である。彼は贈り物の食べ物を受け入れて食べるが、喜捨からは食べない。彼の両肩の間には預言者の封印がある。その土地に行くことが出来るなら、そうしなさい。”
Footnotes:
1 アル=ハイサミーがマジュマア・アル=ザワーイドの中で収録している伝承。
[1] イスファハン:現在のイラン北西部の地域。
[2] 彼の父は火を崇拝するマギ教徒でした。
6 アッ=シャーム:現在のレバノン、シリア、パレスチナ、ヨルダンを含む地域全体を指す言葉。
7 ここで言及すべき重要な点として、サルマーンは当時、真実の道であると思っていたものから一人の行為によって背き去りはしなかったことが挙げられます。彼は、“これらのキリスト教徒を見よ! 彼らの最善の者は悪人ではないか!”などとは言いませんでした。彼は宗教の追従者たちではなく、信条からその宗教を判断すべきことを理解していたのです。
8 イラク北西部の主要都市。
9 ナスィービーン:ムースルとアッ=シャームをつなぐ道の途中にある都市。
1ローマ帝国の東部にあった町。
ペルシャ人のサルマーン 元ゾロアスター教徒(後半):キリスト教からイスラームへ
説明: サルマーンは約束された預言者と出会い、長かった探求をようやく終えます。そして奴隷の身分から自由の身となった彼は、預言者に最も近い教友の一人となります。
- より ペルシャ人のサルマーン
- 掲載日時 17 Feb 2014
- 編集日時 17 Feb 2014
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その男性は亡くなり、サルマーンはアムリアに留まりました。ある日、“カルブ族1の商人たちが私の元を通りかかりました。” サルマーンは言います。“ 私は彼らに言った。‘私をアラビアに連れていってくれれば、私の牛と羊を差し上げよう。’ 彼らは言った。“よろしい。” サルマーンは申し出通りのものを彼らに差し出し、彼らは彼を一緒に連れて行きました。彼らが(マディーナ近郊の)ワーディー・アル=クラーにたどり着いたとき、彼らはユダヤ人たちに彼を奴隷として売り飛ばしました。サルマーンはユダヤ人たちと留まり、彼は(過去に師から告げられていた)ヤシの木を目にしました。
“私はここが、師から告げられていた場所であることを願った。”
ある日、マディーナのユダヤ人部族のバニー・クライザの元にサルマーンの主人の従兄弟が訪れ、サルマーンを彼のユダヤ人の主人から買い取りました。
“彼は私をマディーナまで連れて行きました。神に誓って! そこを目にしたとき、師が述べていた場所であることが分かりました。
そして神は、かれの使徒(ムハンマド――彼に神の慈悲と祝福あれ)を遣わしました2。彼はマッカに長い間留まっていました3。私は奴隷としての仕事に忙しかったため、彼については何も耳にしていませんでしたが、彼はマディーナに移り住んで来ました。
(ある日、)私は主人のためにヤシの木に上り、ヤシの実の房を取る仕事をしていました。彼の従兄弟が訪れ、彼(座っていたサルマーンの主人)の前に立ち止まって言いました。“バニー・キーラ(キーラ族の人々)に災いあれ! 彼らはクバー4で、今日マッカから到着した預言者と自称する者の周りに集っている!”
私はそれを聞いたとき激しく震え、主人の上に落っこちるのではないかと恐れた程でした。私は木を降り、こう言いました。‘何のことを話しているのですか!? 何のことを話しているのですか!?’
主人は怒って私を殴り、こう言いました。“この件とお前に何の関係があるというのだ? さっさと仕事に戻れ!”
私は言いました。“何も関係ありません! ただ、彼の言っていたことを確かめたかっただけです。”
その日の夜、私は神の使徒を一目見ようとクバーまで行きました。私はそれまで蓄えていた、ある物を一緒に持って行きました。そして彼にこう言いました。“私はあなたが誠実な人物で、(ここでは)よそ者であるあなたのお仲間が困窮していることを知りました。私が蓄えてきたものを喜捨として提供したいと思います。私はあなたこそが誰よりもこれにふさわしいとお見受けします。”
私は彼に提供しました。彼は教友たちに“食べなさい”と言いましたが、彼自身はそれに手を付けませんでした。私は自分自身に言いました。“これは(預言者のしるしの)一つ目だ。”
この預言者(神の慈悲と祝福あれ)との出会いの後、サルマーンは別の審査を行いました。次の機会に、預言者へ贈り物を持って行きました。
“私はあなたが喜捨として差し出されたものを食べないことに気付きました。それゆえ、これは私からのあなたへの名誉としての贈り物です。” 預言者はそれを食べ、彼の教友たちにもそうするよう命じました。私は自分自身に言いました。“これで、(預言者のしるしは)2つ目だ。”
3度目の出会いにおいて、サルマーンは預言者(神の慈悲と祝福あれ)がある教友の葬儀に出席していたアル=バキーウに出向きました。サルマーンは言いました。
“私は彼に(「あなたに平安あれ」というイスラームの)挨拶をし、師に教わっていた(預言者の)封印を見るために彼の背後に回った。私がそうするのを目にした彼は、私が説明されたことを確認しようとしていたことに気付いた。彼は背中をさらけ出したので、私は封印を見て、そこにあることを確認した。私はそれにしがみつき、口づけをしつつ泣き始めた。神の使徒(神の慈悲と祝福あれ)は(話が出来るよう)正面に来るよう私に言った。私はあなた、イブン・アッバースに話した物語(彼はここでイブン・アッバースに物語を語っています)を彼にも話した。彼(預言者)はそれを大変気に入り、彼の教友たちにも私の物語を語るよう望んだ。
彼は依然として、主人に所有された身分の奴隷でした。預言者は彼に言いました。“サルマーンよ、(あなたの主人と)自由になる契約を結ぶのだ。” サルマーンはそれに従い、(彼の主人から)自由になるための契約を結びました。彼が主人と合意に至ったのは、40オンスの金を支払い、300本の新たなヤシの木を植え、それらを無事育てるというものでした。預言者は教友たちに言いました。“あなたがたの兄弟を助けるのです。”
彼らはサルマーンのため、指定された木々を集めました。預言者はサルマーンに苗木を植えるための穴を掘るよう命じ、彼は自分の手でそれらすべての苗木を植え付けました。サルマーンは言いました。“私の魂がその御手にある御方(神)にかけて。苗木は一本たりとも枯れませんでした。”
サルマーンは主人にそれらの木々を差し出しました。それから預言者はサルマーンに、鶏の卵の大きさの金塊を手渡し、こう言いました。“サルマーンよ、これを受け取るのだ。そして(あなたの主人への)借りを返すのだ。”
サルマーンは言いました。“私の借りに対して、これはいくら程あるのですか!”
預言者は言いました。“受け取るのだ。神はそれをあなたの借りと同等のものとしてくれよう。”5
私はそれを受け取り、重さを量ると、丁度40オンスありました。サルマーンはその金塊を主人に差し出しました。彼は契約の合意事項を果たし、開放されたのです。
それ以来、サルマーンは預言者の最も近い教友の一人となりました。
真理の探求
アブー・フライラという偉大な教友の一人はこう報告しています。
“私が神の使徒と座っていると、スーラ・アル=ジュムア(第62章)が啓示されました。彼はこれらの言葉を朗誦しました。
“そして(神がムハンマドを遣わしたのは、)かれらの中で未だ来ぬ他の者たちに対しても教えを授けられる。”(クルアーン62:3)
彼らの中の一人が言いました。‘神の使徒よ!未だ来ぬ他の者たちとは誰のことでしょうか?’
神の使徒は返事をしませんでした。ペルシャ人サルマーンが私たちの中にいました。神の使徒はサルマーンに手を置き、こう言いました。‘私の魂がその御手にある御方にかけて。たとえ信仰がプレアデス(星団)の近くにあったとしても、これらの者たち(サルマーンの仲間たち)は間違いなくそれを得るであろう。”(アッ=ティルミズィー)
サルマーンのように、この世界の多くの人々は真実なる唯一の神についての真理を探求します。このサルマーンの物語は、私たちの時代の人々の物語と類似しています。ある人々は教会から教会へと移り、教会から仏教、ユダヤ教、中立主義、または宗教から瞑想、精神療法などへと移り変わります。ある概念から別の概念へと移る人々もいますが、イスラームについては知ろうともしない人々が殆どです。しかし彼らがムスリムと出会うと、心を開くようになります。サルマーンの物語は、長い探求の物語です。あなたは彼の物語から益することによって、真理の探求を短いものにすることが出来るのです。
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