預言者と一夫多妻(後半)
- より IslamReligion.com
- 掲載日時 18 Jun 2012
- 編集日時 17 Jun 2012
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3.スンナの保存
「信仰者の母」は、クルアーンの次に来るイスラーム法の典拠である、預言者のスンナを伝達するための重要な役割を果たしました。預言者の人生について、彼女らからは何も隠されておらず、また彼の私的な生活について知っていることが何であれ、それを伝達する許可もあったのです。彼女たちは合計で、3000以上もの預言者のハディース1を伝承しています。アーイシャは2210のハディースを伝え、ウンム・サラマは380のハディースを伝えました。残りの妻たちは合わせて50から60のハディースを伝えています。ウンム・ハビーバとハフサは共に60、マイムーナは46、そしてザイナブは11のハディースを伝えています2。
4.多神教の伝統を打ち壊し、法の実践を取り入れたこと
預言者の結婚の一つは、子供を養子として迎え入れた上で両親の家系と名前を取り入れさせ、その子供に実の子供としてすべての権利を与えるといった多神教徒の実践を排除するためのものでした。クルアーンは述べています。
“神はあなたがたの養子を、あなたがたの実子ともなされない。これらは、あなたがたが口先だけで言ったことである。だが神は真実を語り、且つ(正しい道)に導かれる”(クルアーン33:4)
こうした伝統は非常に深く根付いたものだったため、預言者は彼の養子であるザイドの元妻との結婚を、神が次の節を啓示するまで躊躇した程でした。
“だがあなた(ムハンマド)は神が暴露しようとされた、自分の胸中に隠していたことを恐れていた。寧ろあなたは、神を畏れるのが本当であった。”(クルアーン33:37)
したがって、預言者ムハンマドはこうした多神教の伝統を否定するためザイナブと結婚したのです。これに関して神は述べます。
“それでザイドが、彼女について必要なことを済ませたので、われらはあなたを彼女と結婚させた。(これからは)信仰者が、必要な離婚手続きを完了したときは、自分の養子の妻であったとしても(結婚に)差し支えないことにした。神の命令は完遂しなければならない。”(クルアーン33:37)
5.暴力と流血を避けるための結婚による部族間の結合
彼によるジュワイリーヤとサフィーヤとの結婚は、衝突していた部族間を婚姻関係によって結合し、暴力と流血を未然に防ぐためのものでした。当時のアラビア半島は数十年続いていた戦争によって動乱していました。部族の間では些細なことで数年間も戦い、彼らの間に和平をもたらすのは極めて困難なことだったのです。イスラームの受け入れと普及により、戦争関係にあった部族間には和平がもたらされましたが、特にイスラームをまだ受け入れていなかった者たちの間には、依然として敵意が抱かれていました。婚姻関係により、諸部族は和平を遵守しなければならず、部族員の預言者との結婚という栄誉と誇りによって敵愾心は解消されたのです。主要な同盟部族や征服部族出身の家族と婚姻関係を結ぶことによって、彼は部族間の協調関係という基盤を築きました。
6.寡婦と孤児の保護
既述されたように、預言者の妻たちの殆どは、彼女たちを保護するため、戦時に結婚した寡婦でした。預言者の人生の後半は、自らの生命と宗教を守るため、敵の侵略から防衛しなければならなかった初期ムスリム国家の戦争の数々でした。それによって数百人もの教友たちが戦死し、後見人のない寡婦や孤児の数々が生まれたのです。預言者ムハンマドは生存した教友が寡婦と再婚し、彼女らを支援するという模範を示しました。それゆえ、彼の妻たちの大半は寡婦だったのです。
結論
倫理と道徳は、社会的慣習に基づいた判断をなされるべきではありません。それらは前例のある明確な基準に基づいた評価がなされるべきなのです。人類の歴史を通して、一夫多妻制は社会における標準でした。現在でも、イスラーム以外の多くの文化はそれを推奨しています。しかし、たとえ環境的・文化的影響などによって一夫多妻制の性質について理解出来ないのであっても、慎重かつ客観的な観点を持つことは必要なのです。預言者の人生を偏向なく吟味すれば、誠実な研究者ならば彼の結婚は知識の普及、寡婦の保護、またはアラビア半島の諸部族の結束といった、ムスリム共同体の強化が明らかな理由であるという結論に達するはずです。
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