聖書におけるムハンマドの予示(1/4):学者たちによる証言

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説明: ムハンマドが偽預言者ではないことを示すバイブルからの証拠。第一部:バイブルにおける予示に関して語ることに関する困難性、そして聖書の中にムハンマドが言及されているという、一部の学者による証言。

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予備的な諸問題

バイブル(旧約聖書または新約聖書)とは、ユダヤ教とキリスト教双方の聖典のことです。キリスト教のバイブルは新約聖書と旧約聖書によって構成されていますが、カトリック教会と東方正教会版の旧約聖書はプロテスタント教会によって聖典として認められていない巻を含むため、その内容量に多少の違いが見られます。尚ユダヤ教のバイブルは、キリスト教徒も良く知る旧約聖書のみです。また更にはユダヤ教とキリスト教の聖典としてのバイブルの配置には、それぞれかなりの違いが見られます。[1] そして預言者ムハンマドは、旧約聖書と新約聖書のいずれにおいても言及されています。

イエスとその使徒たちは、アラム語を使用していたとされます。アラム語は西暦650年位までは広く使用されていましたが、その後アラビア語に取って代わられました。[2] 現在のバイブルはアラム語の原典ではなく、ギリシャ語とラテン語版に基づいています。

尚ムスリムがバイブルの予示を引用するといっても、それは決して彼らが現在のバイブルが完全なる神の啓示であることを認めるわけではありません。過去の啓典に関するイスラームの信条に関しては、ここをクリックして下さい。

またある預言者が過去の預言者によって予言されることは、その預言者性を認める前提条件となるわけでもありません。モーゼはファラオへ遣わされた預言者でしたが、彼はそれ以前の誰にも予言された訳ではありませんでした。アブラハムはニムロドへ遣わされた神の預言者でしたが、彼もまた誰からか予言されたわけではありません。またノア、ロト、そしてその他の預言者たちも神に遣わされた真の預言者でしたが、彼らについての予言もされてはいませんでした。預言者の真実性に対する証拠は彼らに対する過去の予言に限定されるのではなく、その預言者によってもたらされた教え、奇跡など、その他の要素も含まれるのです。

予言に関する議論は慎重に取り組まれなければなりません。それにはバイブルの異なる版本と翻訳の推移、近年になって発見された原本の断片、そしてヘブライ語、ギリシャ語、アラム語の語句の検索、更にそれらの調査研究が必要になってきます。しかし“印刷機の登場前(15世紀)には、どのバイブル写本にも文章の違いが認められた”[3] ことにより、この仕事は難解さを極めるのです。これは一般人にとっては容易ではない課題です。それゆえ最も信頼の置ける証言は予言に関する問題について熟知した、この分野における過去と現在の専門家たちによるものとなるのです。

私たちは過去のユダヤ教徒のラビ、そしてキリスト教徒の修道士が、ムハンマドはバイブルで明示された予言の実現であると証言している記録を見出すことが出来ます。以下にそれに関するいくつかの例を挙げましょう。

待望されていた預言者の誕生

イスラーム以前のアラビア半島におけるユダヤ教徒とキリスト教徒は、新しい預言者の誕生を待ち焦がれていました。ムハンマドの登場前のアラビア半島はユダヤ教徒、キリスト教徒、多神教徒のアラブ人たちによってたびたび争いが繰り返されて来ました。ユダヤ教徒とキリスト教は、“アブラハムの宗教を再生させる文盲の預言者が現れる時が来た。我々は彼の仲間となり、あなた方と壮絶な戦争を起こすだろう。”と言っていたのです。しかしムハンマドが実際に現れると、彼らのある者たちは彼を信じましたが、他の者たちは拒否しました。これが、次の啓示が下された理由です:

“そしてアッラーの御許から彼ら(ユダヤ教徒とキリスト教徒)のもとに下されたもの(過去の諸啓典)を確証する啓典(クルアーン)が下され、、彼らが心に思っていたものが実際に下ると、――以前から不信心の者に対し勝利をお授け下さいと願っていたにも関わらず――彼らはその信仰を拒否する。アッラーの呪いは必ずや不信心者の上に下るであろう。”(クルアーン2:89)

ムハンマドの預言者性の第一の証人は、キリスト教徒の修道士だったブハイラでした。彼はムハンマドがまだ若いころ、彼の預言者性を認識し、彼(ムハンマド)の叔父にこう告げたのでした:

“・・・あなたの甥には偉大なる祝福が待ち受けている。早く彼を家に帰しなさい。”[4]

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第二の証人は、ムハンマドとの遭遇後まもなく命を引き取った、キリスト教学者のワラカ・ブン・ナウファルでした。ワラカは、ムハンマドがモーゼやイエスと全く同様の、啓示を授かった預言者であると証言したのです。[5]

尚マディーナのユダヤ教徒たちは、預言者の誕生を心待ちにしていました。第三、第四の証人は、彼らの有名なラビ、アブドッラー・ブン・サラームと、ムハイリクでした。[6]

第五、第六の証人は、同じくイエメン人のユダヤ教ラビだったワハブ・ブン・ムナッビフと、カアブ・アル=アハバル(西暦656年没)でした。カアブはバイブルの中で、モーゼによって予言された、新預言者に関する称賛と描写の長い記述を見つけたのです。[7]

クルアーンにはこう述べられています:

“イスラエルの子孫の学者たちがこれを知っていることは、彼ら(マッカの多神教徒)にとって、一つの印ではないのか。”(クルアーン 26:197)



Footnotes:

[1] “Bible.” ブリタニカ百科事典・プレミアム版:(http://www.britannica.com/eb/article-9079096)

[2] “Aramaic language.” ブリタニカ百科事典・プレミアム版:(http://www.britannica.com/eb/article-9009190)

[3] “biblical literature.” ブリタニカ百科事典・プレミアム版:(http://www.britannica.com/eb/article-73396)

[4] ‘Muhammad: His Life Based on the Earliest Sources’ マーティン・リングス、29頁。 ‘Sirat Rasul Allah’ イブン・イスハーク、A.ギローム訳 79−81頁。‘The Quran And The Gospels: A Comparative Study,’ ムハンマド・アブー・ライラ博士、アズハル大学、46頁。

[5] ‘Muhammad: His Life Based on the Earliest Sources’ マーティン・リングス、35頁。

[6] ‘The Quran And The Gospels: A Comparative Study,’ ムハンマド・アブー・ライラ博士、アズハル大学、47頁。

[7] ‘The Quran And The Gospels: A Comparative Study,’ ムハンマド・アブー・ライラ博士、アズハル大学、47−48頁。

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聖書におけるムハンマドの予示(2/4):旧約聖書におけるムハンマドの予示

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説明: ムハンマドが偽預言者ではないことを示すバイブルからの証拠。第二部:申命記18:18にて触れられている予示に関する議論と、ムハンマドとその予示の適合性について。

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申命記18:18“わたし(神)は彼らのために、同胞の中からあなた(モーゼ)のような預言者を立ててその口にわたしの言葉を授ける。彼はわたしが命じることを全て彼らに告げるであろう。”

キリスト教徒の多くは、モーゼによるこの予言がイエスに関するものであると見なしています。実際にイエスは旧約聖書において予言されてはいましたが、以下に明確にされるよう、ここでの予言は彼には当てはまりません。そしてむしろこの予言は、ムハンマド(彼に神の称賛あれ)により適合するのです。モーゼの予言とは以下の通りです:

1.新預言者はモーゼのようである

比較対象

モーゼ

イエス

ムハンマド

出生

通常出生

奇跡的出生・処女懐胎

通常出生

使命

神の預言者

神の子と言われる

神の預言者

両親

父と母

母のみ

父と母

家族生活

結婚し子供をもうける

未婚

結婚し子供をもうける

人々による承認の有無

ユダヤ人たちによる承認

ユダヤ人たちによる拒否1

アラブ人たちによる承認

政治的権威

政治的権威を得た(民数紀15:36)

政治的権威を拒否2

政治的権威を得た

敵への勝利

ファラオへの勝利

はりつけにされたという説あり

マッカ軍への勝利

自然死

はりつけにされたという説あり

自然死

埋葬

墓地埋葬

墓の中にはいない

墓地埋葬

神性

無し

キリスト教徒にとっては神性あり

無し

布教開始の年齢

40

30

40

地上における復活

無し

復活すると言われる

無し

2.待望された預言者は、ユダヤ人の兄弟からの出自である

この節では、待望された預言者がユダヤ人の兄弟から出現するということが明確にされています。アブラハムにはイシュマエルとイサクという二人の息子がいました。ユダヤ人の祖はイサクの息子、ヤコブであり、アラブ人の祖はイシュマエルです。よって、アラブ人とユダヤ人とは兄弟3なのです。バイブルはこう確言しています:

“そして彼(イシュマエル)は全ての兄弟と共に暮らすであろう。”(創世記16:12)

“そして彼(イシュマエル)は全ての兄弟の面前で死んだ。”(創世記25:18)

イサクの息子たちはイシュマエルの子孫の兄弟なのです。同様に、アブラハムの息子であるイシュマエルの子孫であるムハンマドも、イスラエルの子孫の血統なのです。

3.神は待望されている預言者の口に、かれの言葉を授ける

クルアーンはムハンマドに関してこう述べています:

“また彼は(自分の)望むことを言っているのでもない。
それは彼に啓示された、御告げに他ならない。”(クルアーン53:3−4)

そしてこれは創世記の18:15にごく似通っています。

“わたし(神)は彼らのために、同胞の中からあなた(モーゼ)のような預言者を立ててその口にわたしの言葉を授ける。彼はわたしが命じることを全て彼らに告げるであろう。”(申命記18:18)

預言者ムハンマドは全人類への教えを携えて遣わされましたが、その中にはもちろんのことユダヤ教徒も含まれています。ゆえに、ユダヤ教徒を含む全ての人々は彼の預言者性を認めなければなりません。これは次の言葉によって立証されています:

“あなたの神、主は、あなたの内から、あなたの同胞の中から、私のような一人の預言者をあなたのために起こされる。彼に聞き従わなければならない。”(申命記18:15)

4.拒絶者への忠告

予言は続きます:

申命記18:19“わたしの名によって彼が告げるわたしの言葉に聞き従わない者があれば、わたしが彼に責任を問う。”(別の翻訳版では“わたしが報復者になる”となっています)。

興味深いことに、ムスリムはクルアーンの全ての章の始まりを次のように神の御名において開始します:

ビスミッラーヒッ=ラフマーニッ=ラヒーム

“慈悲あまねく慈愛深きの御名において。”

以下では、この予言がムハンマドに適合すると主張する学者たちの説明を見て行きましょう。

第一の証言者

元聖職者のデービッド・ベンジャミン・ケルダニ神学士、アブドル=アハド・ダーウードは、ローマ・カトリック教会ユニエイト・カルデア派の祭司でした(彼の伝記はここで読むことが出来ます)。イスラームに改宗後、彼は‘バイブルの中のムハンマド’という本を著し、この予言に関して次のように述べています:

“もしもこれらがムハンマドに当てはまらないのであれば、それら(の予言)は今だに果たされていないことになります。イエスは、ここでほのめかされている預言者であるとは一度も主張しませんでした。彼の弟子たちでさえ、同じ見解を持っていました:彼らは予言の成就として、イエスの再臨を心待ちにしていたのです(使徒の働き3:17−24)。イエスの最初の降臨が、‘あなたのような預言者’の出現ではないことが確実である限り、その再臨もまた予言の成就であるとはとても考えられないでしょう。イエスは、彼の教会が信じるように審判者として現れるのであり、立法者として再降臨するのではないのです。一方‘約束された者’は‘猛烈な法’を右手に携えて出現するとされているのです。”4

第二の証言者

ムハンマド・アサドはレオポルド・ワイスとして、1900年7月に当時のオーストリア帝国支配下にあった現在のポーランド領内リヴィウ(ドイツ語ではレンベルク)に生まれました。彼は先祖代々ラビの家系に生まれましたが、その流れは法廷弁護士になった彼の父親によって断たれました。一方でアサド自身はラビの家系の伝統復活の望みを託され、徹底した宗教教育を受けました。彼は若くしてヘブライ語を堪能に話し、アラム語も熟知していました。彼は旧約聖書の原本、およびミシュナーとゲマーラーによるタルムードのテキストと注釈を学び、またタルグーム5という聖書の訳書の研究も行なっています。

次のクルアーンの節に関して、ムハンマド・アサドは記しています:

“嘘をもって真理を上塗りしたり、また(確かに)知っていながら、真理を隠蔽してはならない。”(クルアーン2:42)



Footnotes:

1 ヨハネ1:11。

2 ヨハネ18:36。

3 ‘Muhammad: His Life Based on the Earliest Sources’ マーティン・リングス、1−7頁。

4 156頁。

5 ‘Berlin to Makkah: Muhammad Asad’s Journey into Islam’ イスマイール・イブラーヒーム・ナウワーブ、サウジ・アラムコマガジン2002年1月/2月号。

6 ‘The Message of The Quran’ ムハンマド・アサド、(Gibraltar: Dar al-Andalus, 1984)、10−11頁。

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聖書におけるムハンマドの予示(3/4):新約聖書におけるムハンマドの予示

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説明: ムハンマドは偽預言者ではないとするバイブルからの証拠。第三部:ヨハネの福音書14:16の中で言及されている“パラクレートス”、または“助け主”の予示がどのようにムハンマドに当てはまるかについて。

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ヨハネ14:16“私は父にお願いします。そうすれば、父はもう一人の助け主をあなた方にお与えになります。その助け主がいつまでもあなた方と、共におられるためにです。”

この節では、イエスがもう一人の“助け主”の出現を約束しています。従って私たちは、この“助け主”に関するいくつかの議論をしなければなりません。

ギリシャ語のο Παρακλητος、ラテン語表記ho parakletosは‘助け主’と訳されてきました。この‘“パラクレートス”’とは、正確に訳せば‘他人のために嘆願する者、執り成す者[1] ’という意味になります。ギリシャ語のho parakletosは人称であり、(実体のない)霊的存在を示しているのではありません。ギリシャ語では全ての名詞に性別があります;すなわちそれは男性詞か、女性詞か、もしくは中性詞でなければならないのです。ヨハネの福音書の第14章、15章、16章のho parakletosは、実際に特定の人物を指しています。ギリシャ語の全ての代名詞は、それらを指す単語と性が必ず合致していなければならず、”パラクレートス”が代名詞によって指示される際には“彼”として示されています。しかし新約聖書ではその訳として“息”、または“霊”を意味するPneumaという単語があてられており、一方旧約聖書の中では、ギリシャ語の同意義であるruah、またはヘブライ語では“霊”として使われています。なお、Pneumaは文法的には中性詞であり、必ず“それ(it)”という代名詞を使って指し示されます。

現在の全てのバイブルは“古代の写本”から編纂されており、最も古いものでは西暦4世紀まで遡ります(異端として一部に認められていない“死海文書”[紀元前1−2世紀]はここに含まれていません)。それら古代の写本には、同一のものが一つも存在しません。[2] 現在の全てのバイブルに単一の典拠はなく、それらは数々の写本を混合することによって作り出されたのです。そしてバイブル翻訳者は正しい版本を“選択”しようと試みます。言い換えると、彼らはどの“古代の写本”が正しいかを知らないため、私たちがどの“版本”を読むべきかを選んでくれているのです。ヨハネ14:26を例に挙げてみましょう。ヨハネ14:26はバイブルの中で、”パラクレートス”に‘聖霊’を関連付けているの唯一の節です。しかし“古代の写本”は、““パラクレートス””が‘聖霊’であることに合意しません。実例を挙げれば、1812年にシナイ山で発見された、五世紀に書かれたとされる著名なシリア写本の14:26では;““パラクレートス”、霊”;となっており、““パラクレートス”、聖霊”ではないのです。

なぜこれが重要なのでしょうか?これが重要なのは、聖書言語においては、“霊”が単なる“預言者”を意味するからです。

“愛する者たち。霊だからといって、みな信じてはいけません。それらの霊が神からのものかどうかを、試しなさい。なぜなら、偽預言者がたくさん世に出て来たからです。”[3]

特筆に値するのは、複数の聖書学者が”パラクレートス”は救済をもたらす独立した(一人の)人物であって、聖霊ではないとしている事実です[4]

そこでこのような疑問が生じます:イエスの”パラクレートス”、“助け主”は、‘聖霊’なのでしょうか?それとも彼の後に現れる人間―預言者―なのでしょうか?この疑問に対しての答えを見つけるためには、ho parakletosの特徴を理解し、それが霊なのか人間であるのかを確認しなければなりません。

さてヨハネの福音書14:16、16:7を読み進めていくと、イエスが”パラクレートス”の出現と正体に関して予言しているのを見出すことが出来ます。そしてヨハネの福音書14及び16章の文脈からは、以下の事実を発見することが出来ます。

1.”パラクレートス”は人間であるというイエスの発言:

ヨハネ16:13“彼は話す”

ヨハネ16:7“もし私が去って行かなければ、助け主があなた方のところに来ないからです。”

“聖霊”はイエスが出現するよりもはるかに過去に存在していたため、ここで助け主が聖霊であると言うことは不可能です。[5]

ヨハネ16:13で、イエスは7回も”パラクレートス”を‘それ(it)’ではなく‘彼(he)’という代名詞をもって言及していますが、バイブルに男性詞が七回も出て来る節は他にはありません。従って”パラクレートス”とは人物であり、霊ではないと言うことが出来ます。

2.イエスは”パラクレートス”と呼ばれていた:

“もし誰かが罪を犯したなら、私たちには、御父の御前で弁護してくださる方(”パラクレートス”)があります。それは、義なるイエス・キリストです。”(第一ヨハネの手紙2:1)

ここでは、はっきりと”パラクレートス”が肉体を供えた人類の執り成し人であることが記されているのを見ることが出来ます。

3.イエスの神性は後世に行なわれた宗教改変である

西暦325年に開かれたニケア公会議が開かれるまで、キリストには神性があると認められていませんでした。しかし以下のバイブルの節で述べらているように、ユダヤ人以外の全ての人々は彼を神の預言者であると認めていたのです。

マタイ21:11“…この方は、ガリラヤのナザレの、預言者イエスだ。”

ルカ24:19“…ナザレ人イエスのことです。この方は、神と全ての民の前で、行ないにも言葉にも力のある預言者でした。”

4.イエスによる、もうひとりの”パラクレートス”のための神への祈り:

ヨハネ14:16“私は父にお願いします。そうすれば、父はもう一人の”パラクレートス”をあなた方にお与えになります。”



Footnotes:

[1] Vine’s Expository Dictionary of New Testament Words.

[2] “これらのような大きな食い違い以外にも、一部の写本においてフレーズに相違の認められない節はほとんどありません(バイブルが編纂された古代の写本に関して)。これらの付加、省略、改変が単なる無頓着さによるものであるとするものは誰もいません。”英題:‘Our Bible and the Ancient Manuscripts’、フレドリック・ケニヨン博士、Eyre and Spottiswoode出版、三頁。

[3] 第一ヨハネの手紙4:1

[4] “…キリスト教の伝統は、この存在(パラクレートス)を聖霊であるとしてきましたが、スピッタ、ドラフォッス、ウィンディッシュ、サス、ブルトマン、ベッツなどの学者たちは、これが本来の原典では本当にそうであったかどうか疑問を示し、そしてパラクレートスとは元々は一人の独立した救済者だったものが後に聖霊と混同されたのではないかと示唆しています。”The Anchor Bible、出版:Doubleday & Company, Inc.1970年、29A巻、1135頁。

[5] 創世記1:2、第一サムエル記10:10、第一サムエル記11:6、イザヤ書63:11、ルカ1:15、ルカ1:35、ルカ1:41、ルカ1:67、ルカ2:25、ルカ2:26、ルカ三:22、ヨハネ20:21−22。

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聖書におけるムハンマドの予示(4/4):新約聖書におけるムハンマドの予示(続)

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説明: ムハンマドが偽預言者ではないとするバイブルからの証拠。第四部:ヨハネの福音書14:16の中で言及されている”パラクレートス”、または“助け主”の予示がどのようにムハンマドに当てはまるかについての更なる議論。

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5.イエスによるもう一人の”パラクレートス”の役割に関する説明:

ヨハネ16:13“彼はあなた方を全ての真理に導き入れます。”

神はクルアーンの中で、ムハンマドに関してこのように述べています:

“人々よ、使徒は確かに主からの真理を携えてあなた方の許に来た。だからあなた方は信じなさい。それがあなた方のために最も良いのだから。”(聖クルアーン 3:45)

ヨハネ16:14“彼はわたしの栄光を現わすだろう。”

ムハンマドに啓示されたクルアーンは、イエスの栄光を称えています:

“マリアの子、その名はイエス・キリスト、彼は現世でも来世でも高い栄誉を得、また(神の)側近の一人であろう。(クルアーン3:45)

またムハンマド自身もイエスの栄光を称えています:

“誰であれ、これから私が言うように証言すれば、あなた方は各々の所業に基づいて、神により楽園に入れられるでしょう:‘神以外に崇拝に値するものはなく、かれには同等のものもおらず、ムハンマドはかれに仕える使徒であり、またイエスもかれに仕える使徒であり、更にかれ(神)がマリアに授けたお言葉、そしてかれが創った魂であり、そして楽園は真実であり、火獄は真実である’。”(サヒーフ・ブハーリー、サヒーフ・ムスリム)

クルアーンは次のように述べています:

“「アッラーこそは、マリアの子キリストである。」と言う者は、確かに不信心者である。しかもキリスト(自身)は言ったのである。「イスラエルの子孫よ、私の主であり、あなた方の主であられるアッラーに仕えなさい。」およそアッラーに何ものかを配する者には、アッラーは楽園(に入ること)を禁じられ、彼の住まいは業火である。不義を行う者には援助者はないのである。”(クルアーン5:72)

ヨハネ16:13“彼は自分から語るのではなく、聞くままを話す。”

クルアーンはムハンマドに関してこう述べています:

“また彼は(自分の)望むことを言っているのでもない。それは彼に啓示された、(神からの)御告げに他ならない。”(クルアーン53:3−4)

ヨハネ14:26“また、私があなた方に話した全てのことを思い起こさせてくださいます。”

クルアーンはこう述べます:

“…キリスト(自身)は言ったのである。「イスラエルの子孫よ、私の主であり、あなた方の主であられるアッラーに仕えなさい。」”(クルアーン5:72)

そしてイエスは彼の第一の、最も重要な命令を人々に思い出させます:

“一番大切なのはこれだ:『イスラエルよ。聞け。われらの神である主は、唯一の主である…”(マルコの福音書12:29)

ヨハネ16:13“そして彼はやがて起ころうとしていることをあなた方に示すのだ。”

クルアーンは述べます:

“これはわれがあなた(ムハンマド)に啓示した、不可視の世界の消息の一つである。”(クルアーン12:102)

また預言者ムハンマドの教友、フザイファはこう報告しました:

“預言者は一度我々の前で、審判の時に何が起こるかを余すことなく全て言及されました。”(サヒーフ・ブハーリー)

ヨハネ14:16“彼がいつまでもあなた方と、ともにおられるために。”

この節は、彼の教えが永久に残るという意味を示しています。ムハンマドは人類に遣わされた最後の預言者です。[1] 彼の教えは今なお完全に維持されており、彼が実践していた神の崇拝方法を完全な形で模倣しようと努力する、彼を敬愛する追従者の心の中で生きているのです。イエスやムハンマドを含むあらゆる人間は、地上で永久に生きることが出来ません。”パラクレートス”もその例外ではないのです。現代キリスト教徒が行なっている聖霊信仰は、イエスの時代から四世紀半も後の、西暦451年のカルケドン公会議までは存在しなかったのです。

ヨハネ14:17“彼は、真理の霊である。”

これは、真理の預言者という意味となります(第一ヨハネ4:1−3参照)。

ヨハネ14:17“世は、彼を見ようとも知ろうともしないので、受け入れることはできない。…”

現在、多くの人々はムハンマドを知りません。神が遣わした慈悲の預言者ムハンマドの真の姿を認知しているのは、ごく少数の人々のみです。

ヨハネ14:26“執り成す者(”パラクレートス”)”

ムハンマドは審判の日、人類全体に対する執り成し人となります:

人々は審判の日に、そこでの難儀と苦しみを和らげてくれるよう、自分を神に執り成してくれる者を探します。人々はアダム、ノア、アブラハム、モーゼ、イエスに執り成しを依頼しますが、彼らはその役割を負うことが出来ません。

そして人々は預言者ムハンマドの許へ行き、彼はこう言うのです:“私こそがその役割を果たすことの出来る者だ。”そして彼は審判の日に人々が召集される広大な平地で執り成し、こうして審判が開始されるのです。これは神がクルアーンにおいて彼に約束した、‘光栄ある地位’なのです。

“主はあなたを、光栄ある地位(復活の日に執り成すことの出来る名誉)に就かせて下さる。”(聖クルアーン 17:79)[2]

また預言者ムハンマドはこのように言っています:

“私の執り成しとは、大罪を犯した私の共同体の者たちのためである。”(アッ=ティルミズィー)

“私は楽園の最初の執り成し者となるだろう。”(サヒーフ・ムスリム)

尚一部のムスリム学者は、イエスが実際にアラム語で言った言葉は、ギリシャ語で‘称賛される者’を意味する‘ペリクリートス’ではなかったのかと示唆してもいます。そして‘ムハンマド’とは、アラビア語で‘称賛される者’という意味なのです。言い換えると、“ムハンマド”とはギリシャ語で‘ペリクリートス’なのです。そしてこの見解を支持する二つの強い根拠が存在します。第一に、単語同士に隙間をあけない古代の慣習によって、写本士がそれを見落とした可能性が十分にあるのです。バイブルにおいて似通った単語が入れ替えられてしまったケースは、複数記録されています。そしてもしも双方の言葉が元来のテキストに含まれていたとすれば、本来の文章は“そして彼はもう一人の助け主(”パラクレートス”)、称賛される者(ペリクリートス)をあなた方にお与えになります。”となったでしょう。そして第二に、キリスト教学者が使用していた問題のギリシャ語、または古代シリア語の単語が‘称賛される者’という意味であることを示す、少なくとも四人の異なる時代におけるムスリムの権威による信頼性の高い証言があります。[3]

最後に、”パラクレートス”が実際にムハンマド(彼に神の称賛あれ)を指しているのだと証言する人物を挙げていきましょう:

第一の証人

キリスト教司祭であり、学者でもあったアンセリム・トゥルメダ(1352/55−1425)はこの予言に関して証言しています。イスラームに改宗した後、彼は“Tuhfat al-arib fi al-radd ‘ala Ahl al-Salib(十字架の徒への回答における困惑する人々への贈り物という本を著しました。

第二の証人

また元聖職者のデービッド・ベンジャミン・ケルダニ神学士、アブドル=アハド・ダーウードは、ローマ・カトリック教会ユニエイト・カルデア派の祭司でした[4]。イスラームに改宗後、彼は‘バイブルの中のムハンマド’という本を著し、次のように述べています:

“‘“パラクレートス”’が預言者ムハンマド(アハマド)を意図していることには、全く疑いの余地がないのです。”

第三の証人

尚ムハンマド・アサドの人生の概要については既に触れました(第三部)。次の節について、彼は述べています:

“…私の後に来る使徒の吉報を与える。その名前は、アハマドである。”(聖クルアーン 61:6)

イエスがムハンマドの出現を予言したことに関して、アサドは”パラクレートス”に関してこう述べます:

“…ギリシャ語であり、その意味が転訛された”パラクレートス”(たびたび称賛される者)の正確なアラム語訳がマウハマナであることは、確実であると言って良いでしょう。(アラム語は、イエスの時代、そしてその数世紀後までパレスチナで使われていた言語であり、現在失われているゴスペル(福音)の原典を構成していた言語だったのは間違いないということを念頭に置かなければなりません。)ペリクリートス、そして”パラクレートス”の発音的な類似性は、翻訳者、正しくは写本筆写者がその二つの表現を混同してしまう可能性を容易に推測出来ます。アラム語のマウハマナ、そしてギリシャ語の”パラクレートス”は、どちらも最後の預言者の二つの名前であるムハンマドとアハマドと同義であり、またそれらの名前はヘブライ語の動詞ハミダ(‘彼は称賛した’)と名詞のハムド(‘称賛’)から派生しているのです。”



Footnotes:

[1] 聖クルアーン33:40

[2] サヒーフ・ブハーリーも同様に参照の事。

[3] ‘Sirat Rasul Allah’イブン・イスハーク(西暦704−767)著、103頁。‘Bayn al-Islam wal-Mashiyya: Kitab ‘Abi Ubaida al-Khazraji’アブー・ウバイダ・アル=ハズラジ(1146−1187)著、220−221頁。‘Hidaya tul-Hayara’、イブン・カイイム著、119頁。‘al-Riyadh al-Aniqa’アッ=スユーティー著、129頁

[4] 彼の生い立ちは、次のリンクから読む事が出来ます:(http://www.muhammad.net/biblelp/bio_keldani.html.)

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